Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第205回)

・『コレクター』

男が若い女性を監禁するという内容の映画として、日本では『完全なる飼育』を挙げることができる。

その元ネタとなった……かどうかは不明だが、本作もまた、ストーカー気質の薄気味悪い男が若い女性を拉致・監禁するという内容の映画である。1965年公開の米英合作映画。監督は、あのウィリアム・ワイラーである。

男が若い女子大生を拉致し、古城に監禁する。彼女はなんとかして逃れようとするも、そのたびに男に阻止されてしまう。

男は、必ずしも性行為目的で監禁しているのではない。その証拠に、意識を失った女性をベッドに置くとき、ちゃんとスカートの乱れた裾を直してやるのである。

男は、蝶のコレクターであった。まるで蝶を採集するのと同じような感覚で、彼は女性を“採集”しているのだ。

男を演じているテレンス・スタンプが実に気持ち悪く、見ていてゾッとさせられる。これは、貶しているのではない。逆だ。それだけ彼の演技力が優れているということである。

はっきり言って、昨今のCG満載のホラー映画なんぞより、よほど怖い。監督のワイラーはかの有名な『ローマの休日』の監督として知られるが、全く印象が違う。あるいはこちらこそ、ワイラー監督の真骨頂だったのかもしれない。

 

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・『THX-1138

コンピューターによって監視される、未来のディストピア社会を描いたSF映画である。監督はあのジョージ・ルーカス。彼の記念すべきデビュー作となった映画だ。

時は25世紀。人類はコンピューターによって監視されている。そんななか、禁止されている性行為によって自我に目覚めた主人公は、なんとかして監視社会から逃れようと試みる。主人公は、迫りくるコンピューターの追っ手を振り切りながら、監視社会の<外>を目指す。

<内>から<外>へ。

<内>にいれば、監視されるけれども、少なくとも生命の危険はない。一方、<外>に出れば死が待ちうけているかもしれない。それでもなお、安楽な<内>での暮らしを捨て、<外>を目指すのか?

……あぁ、僕も<外>を目指すだろうな、と思った。

主人公を演じるのは、ロバート・デュヴァル。『ゴッドファーザー』に登場する、ファミリーお抱えの弁護士である。

……それにしても、ディストピア系SFに出てくる食事って、どうしていつも錠剤やカ○リーメイトみたいな固形食ばかりなんでしょうねぇ。

 

 

・『僕の大事なコレクション』

イライジャ・ウッド演じるユダヤ系アメリカ人の青年が、祖父を救ってくれたアウグスチーネなる女性を探しに、ウクライナへとやってきた。そこで、ある程度英語のできる現地の青年・アレックスをガイドに、彼の祖父をドライバーに、旅を始める。やがて彼らは、ユダヤ人の悲しい歴史を知ることとなる。

……こう書くとなにやら暗い映画かと思われるかもしれないが、前半部分は意外にもギャグ盛りだくさん(w)。とくに、レストランにてベジタリアンの主人公に配慮し、肉料理の代わりに茹でたジャガイモ丸まる一個がボン!と出されるシーンは、思わず声を出して笑ってしまったほどだ(w

終盤に向けてシリアスになっていくが、そこでも、アレックスのシャツが表裏逆、というさりげないギャグが挟まれていて、しっとりとした雰囲気のなかにも、クスリとさせられるユーモアがある。この点、我らが三谷幸喜と似ているかも知れない。

ギャグのセンスといい色彩感覚といい、リーヴ・シュライバー監督の独特の感性が光る一作だ。

映画の本筋からは離れてしまうが、面白かった点もうひとつ。アレックスが「ニグロ」という言葉を使い、主人公に「それは差別語だから」とたしなめられる。ところがアレックスの話によると、どうやらウクライナでは「ニグロ」という言葉に差別的なニュアンスはなく、むしろアメリカ黒人への憧憬の念すら込められているようなのだ。これは、大晦日の『ガキ使』笑ってはいけないスペシャルにおける、顔の黒塗り問題にも通じる話だと思った。

 

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・『夏休みのレモネード』

さすがにナチスほどではないにせよ、アメリカにもユダヤ人差別はあった。それを告発した映画が1947年公開の『紳士協定』だが、現代でもそこまでひどくないとはいえ、一般のキリスト教徒とユダヤ教徒との間には、心理的な障壁があるものらしい。

本作は、アイルランド系のカトリックの少年とユダヤ系の少年との友情を描いた映画である。

主人公の少年はユダヤ教のラビ(司祭)のおじさんと仲良くなり、彼の息子で同世代の少年とも親しくなる。だが少年の身体は、白血病に侵されつつあった。

主人公の父は敬虔なカトリック信徒であり、それゆえにユダヤ人に対し偏見を持っている。そんな父が、息子のおかげで次第に心境を変化させていくところが、本作の見どころだ。

 

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・『コン・エアー

ニコラス・ケイジ演じる元レンジャー隊員の主人公。絡んできた不良を殴って死なせてしまったことから、殺人罪で逮捕され、刑務所に収監されてしまう。

やがて仮釈放が認められ、めでたく出所するはこびとなったが、彼を乗せた囚人輸送機「コン・エアー」が凶悪犯たちによってハイジャックされてしまう。

主人公は、ジョン・マルコビッチ演じる凶悪犯たちの親玉に、単身立ち向かう。

冒頭、輸送機に乗せられる凶悪犯たちが次々紹介されるが、まるで動物園の猛獣のような扱いで笑ってしまう。

ラストでは、輸送機がラスベガスの街中へと不時着、そこでど派手なアクションを繰り広げる。この一大スペクタクルが本作最大の見どころだ。

2時間があっという間。いやぁ、ひさびさに娯楽映画らしい娯楽映画を見たなぁ、と思った。

 

コン・エアー 特別版 [DVD]

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