Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第211回)

・『呉清源 極みの棋譜

僕は将棋ファンであるが、囲碁のほうはあいにく、どうにもよく分からない。将棋と比べて囲碁のほうが抽象的だからだろうか。

将棋のほうは、王様がいて将軍がいて下っ端の兵士がいて、なんか戦争やってるという具体的なイメージがわいてくるではないか。その点囲碁は、なんか陣取り合戦やってるらしいのだが、それ以上のことが分からないのである。

それじゃあ囲碁の勉強も兼ねて見てみるか、というわけで手に取ったのが本作。主人公・呉清源(1914-2014)は、中国出身で日本に帰化した実在の囲碁棋士である。

……アレ? でも、この映画、なんか囲碁のシーン、少なくない?(^▽^;)

そうなのだ(w)。本作では囲碁の対局シーンにはあまり重きは置かれておらず、それよりもむしろ、呉清源の歩んだ激動の生涯――日中戦争新興宗教への入信など――のほうがメインに描かれているのである。なんだ、と思った(w

この映画、映像のほうは綺麗なのだが、全体的に説明不足のため、呉清源に関する予備知識がないと、ストーリーについていけなくなる点も残念だ。

もうひとつ、気になる箇所が。戦前の日本の場面で「中国」という国名が会話にのぼるが、当時の日本では、かの国の一般的な呼称は「支那」ではなかったか。今日ではどういうわけだかこの語が差別語ということになっているので制作陣は使用しなかったのだろうが、当時の日本社会では「支那」が一般的だったのだから、戦前の場面では「支那」でいいのである。

 

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・『MON-ZEN』

奥さんに捨てられてしまった兄と禅マニアの弟というドイツ人兄弟ふたりが、日本の禅寺に修行に行くという、なんともぶっ飛んだ内容の(w)疑似ドキュメンタリー形式の映画である。

このふたり、東京に着いたはいいものの、夜の新宿で遊び惚けているうちに宿泊先のホテルの名前を忘れてしまい――それくらい覚えておけよw――帰れなくなってしまう。わずかしかない所持金も、兄がパチンコですってしまった。なんと煩悩にまみれた兄弟だろう!(ww

カネがないので、やむなく野宿のためのテントを万引きしたり、回転寿司店から食い逃げしたり、ともうメチャクチャ。ここまでが、前半戦である(;^_^A

やがて、在日ドイツ人女性の助けを借りて、なんとか石川県にある曹洞宗總持寺祖院へと到着。ここからが後半戦だ。兄弟はここで禅の修行に励む。最初のうちは苦労するも、次第に禅の心を理解していく。

印象的なシーンがある。兄は寺の高僧に「妻への憎しみを捨てられない。どうしたらいいか」と胸の内を明かす。高僧はてっきり「憎しみは煩悩である。ただちに憎しみを捨てなさい」とかなんとか言うのかと思いきや……。彼は意外にも、こう答えるのだ。

「憎むなら思いっきり憎みなさい。それこそ寝食を忘れるくらいに憎みなさい。そうすれば、憎しみが何も生まないということを悟るでしょう」

ハッ、と思った。これが、修行を重ねた人だけがもつ重み、なのか。

ラスト。兄弟は数日間の修行を終え、總持寺祖院を後にする。見送る禅僧たちは、ときおり涙をぬぐっていた。

 

 

・『大列車強盗

列車強盗の夫が隠した大金を探し出して返上したい、という美人妻の頼みを聞き、ジョン・ウェイン演じる主人公たちが探索の旅に出る、という内容の西部劇映画。

ジョン・ウェインは、前回ご紹介した『捜索者』とはうってかわって、人情味のある役どころである。同じ役者だというのに表情が全然違っていて、驚いた。

映し出される西部の風景がなんとも美しい。

 

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・『ダウンタウン物語

なんと登場人物全員が子供というユニークすぎるギャング映画である。否、ギャング映画“のパロディー”、というべきか。

子供の世界なので、銃でなくパイ投げで戦ったり、自動車かと思いきや自転車――インドの輪タクみたいな原理――で移動したり、といちいち笑ってしまう(w

とはいえ、基本的なストーリーは完全にギャング映画のそれだし、劇中歌もけっこう本格的。脚本をちょっといじれば、そのまま普通のギャング映画として通用しそうだ。

……実のところ、子供の世界と「大の大人」のそれとは、基本的にはさして違わないのだ。本作を見ていると、そのことがよく分かる。

 

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・『ポール・ニューマンの脱走大作戦』

第二次大戦中のイタリア。捕虜となった連合国軍の将軍たちが、イタリア貴族の邸宅に軟禁されている。

彼らの脱走の手引きをすべく、ポール・ニューマン演じる主人公が単身、邸宅のなかへと潜入する……

と書くとなにやらスリリングな戦争映画を連想してしまうが、本作は意外にもコメディである(w

主人公はきわめて不真面目な性格なのだが、営巣からの脱走はお手の物。というわけで今回、脱走の手引きを任されたわけだが、連合国にとって不運だったのは、その邸宅に住む貴族の未亡人がめっぽう美人だったということ。おかげで主人公、すっかりメロメロになってしまい、肝心の将軍たちの脱走がいつまで経っても実行されない。

全編にわたって、トボケたストーリーがなんとも笑える。1968年公開の映画なので、同年代のスパイ・アクション映画と雰囲気が似ていて、楽しかった。

 

ポール・ニューマンの脱走大作戦 [DVD]

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