Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第215回)

・『ネットワーク』

1976年制作のアメリカ映画。監督は『十二人の怒れる男』で有名なシドニー・ルメットである。

アメリカの、とあるテレビ局。精神を病んだと思しきキャスターの男性が生放送中、唐突に「来週自殺します」と言い出す。

さぁ大変。今だったらただちにyoutubeに動画がアップされてネット上が祭りになるところだが(w)、テレビ時代の当時でも社会は大騒ぎ。テレビ局には問い合わせの電話が殺到する。

ところが、「しめしめ、これはかえって宣伝になるわい」と気づいたプロデューサーたちは、大胆にもこのキャスターに自由にしゃべらせるという内容の新番組を開始。これが話題に話題を呼んで、驚異的な視聴率をはじき出す。

それでも良かったのは最初のうち。やがてキャスターの言葉は難解なものになり――もっとも僕個人は興味深いと思ったが――視聴者は徐々に離れていく。起死回生をはかるべく、プロデューサーたちはとんでもない秘策を思いつく……

視聴率至上主義にとらわれた現代メディアの病的な側面を描き出した佳作と言えよう。いかにも、社会派として知られたルメット監督らしい。

主人公格の女性プロデューサーを演じるのは、フェイ・ダナウェイうん、やっぱりブサイクだね。

 

 

・『ニュー・ジャック・シティ

アメリカ映画界には「黒人映画」なるジャンルがある。登場人物のほとんどが黒人という映画のことで、たいていの場合、その監督もまた黒人である。

本作もそんな黒人映画のひとつだ。ニューヨークで麻薬を密売する黒人ギャング団を描く。タイトルの「ニュー・ジャック・シティ」とはNYを指す黒人英語らしい。

黒人社会の暗部を細かいところまで描いており、BGMとして流れるラップ・ミュージックも実に効果的。ブラック・スピリットを堪能できる一作だ。

 

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・『殺されたミンジュ』

韓国映画界の鬼才キム・ギドク監督は、アジアの映像作家のなかで僕が最も尊敬している人物だ。そんなキム監督の第20作目となるのがこちら。

一見善良な市民に見える男たちが、正体不明の謎のグループによって拉致・監禁され、ちょっとここでは書くのを躊躇ってしまうほどの惨い拷問をうける。物語が進むにつれて、どうやらグループのリーダー格の男の娘さんがかつて殺害され、その復讐のため、事件にかかわった男たちを捕まえて拷問しているらしいことがわかってくる。

グループのメンバーはいずれも社会の底辺で働く貧乏人たちで、みな一様に社会への恨みを口にする。

本作は、社会批判の性格が前面に出た作品であり、率直に言って、あまりキム監督らしくない映画でもある。キム・ギドク作品では、登場人物たちがいつのまにやら非現実的な世界へと入っていくのが常だからだ――その点、村上春樹の小説と似ていると言える

キム監督には、もう一度初心に戻って、『春夏秋冬そして春』『うつせみ』みたいな、しっとりとした文芸路線の映画を撮ってもらいたい。

これは余談だが。本作を見ていると、僕の記憶が確かならば、過去のキム監督の作品に登場した建物がいくつか出てきて、「あ、この屋敷、『うつせみ』に出てきたアレじゃね?」「あ、この廃ビル、『嘆きのピエタ』に出てきたアレだ!」という感じで楽しむことができる(w

 

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・『破局

ヘミングウェイの小説『持てるものと持たざるもの』を映像化した作品。

主人公の男は軍を除隊し、今は漁師として暮らしているが、その生活は困窮しているようだ。やむなく彼は、中国人の密航に手を貸すことになるが、それが原因でトラブルに巻き込まれ……

一度は平和な暮らしを手に入れたはずの主人公が、騒動に巻き込まれることで徐々に精神を荒廃させ、家族などの親しい人たちから見放されるのを見るのは、なんとも忍びない。

本作は、1950年の公開。「中国人の密航」という話が出てくるのは、その前年に中国が共産化したことと関係しているのだろう。

 

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・『白熱』

ジェームズ・キャグニー演じる凶悪なギャングの親玉は、残忍な性格の一方で強烈なマザコン(!)でもある。

彼が刑務所に収監されている間、その子分が奥さんとデキてしまい、さらには組織を乗っ取ろうとすらたくらむ。それを知った親玉は激怒。脱獄して、子分を殺しに向かう。

ラストはガスタンクでど派手にドーンと自爆してしまうというこの映画、フィルム・ノワールの古典に数えられているのだという。

それにつけてもカッコいいのが、主人公のギャングの親玉ではなく、その母親。ばあさんだというのに実に矍鑠(かくしゃく)としており、パトカーとのカーチェイスの場面でもまんまとパトカーをまいてしまう(w)。うーん、カッコいいw(;^ω^)

彼女を本作のMVPに挙げたいのだが、どうだろう(w

 

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