Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第216回)

・『バラキ』

「んん~♪ マンダム」のCMでおなじみ(古いかw)チャールズ・ブロンソン主演のギャング映画である。20世紀前半のNYで暗躍した実在のイタリア系マフィアの生涯を描く。

NYの下町を自動車で乗り回しながらマシンガンをぶっ放すという描写はいかにも1930年代といった感じだが、本作の時代考証は意外といい加減(w)。1930年代のはずなのにWTCビルが一瞬画面に写ってしまっているのは明らかに撮影スタッフのミスだろう(;^ω^)

本作が公開されたのは、1972年。かの『ゴッドファーザー』が公開されたのと同じ年である。これは偶然だろうか。それとも制作サイドになにかしらの対抗意識があったのか。

 

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・『パララックス・ビュー

型破りな新聞記者の主人公。ある政治家の暗殺事件の背景に、おそろし~い陰謀が隠されていることに気づき、調査を進めていく。そのなかで浮上したのが「パララックス・ビュー」なるナゾの会社。主人公はさっそく潜入取材を試みる……

アラン・パクラ監督の独特の映像センスが強く印象に残る。とりわけ、中盤におけるパララックス・ビューの入社試験のシークエンスが秀逸だ。

「母親」「自分」「国」「敵」などの言葉とともに複数の画像が映し出される。たとえば「国」の箇所では星条旗の画像が、「敵」の箇所ではヒトラー毛沢東の画像が、といった具合に。ところが、やがてそれらが混在していくのだ。「敵」の箇所に星条旗が出てきたり、「国」のなかにヒトラーが出てきたり……。

本作が公開されたのは、ベトナム戦争末期の1974年。何が正しいのかが必ずしも自明ではなくなった、この時代を象徴した作品、と言っていいだろう。単純な勧善懲悪のストーリーではない点も、また魅力的だ。

 

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・『やくざの墓場 くちなしの花』

先ほどはイタリア系マフィアの映画を取り上げたので、お次は日本のヤクザの映画を紹介するとしよう。

渡哲也演じる主人公は刑事であるが、ヤクザの世界に潜入捜査しているうちにすっかり彼らと意気投合(!)、ついには梅宮辰夫(アンナパパ)演じるヤクザと杯を交わすまでの仲になってしまう。当然、警察組織との間に軋轢を起こすようになり……

本作のヒロインは、梶芽衣子である。梶芽衣子といえばやはりなんといっても『女囚さそり』シリーズが有名だ。かのクエンティン・タランティーノ監督も彼女の大ファンなのだという。僕もです♪

本作で彼女が演じているのは、なんと在日韓国人の女性の役。本作は、したがって警察とヤクザの癒着、日本の裏社会における在日の問題など、日本社会の暗部にかなり深く切り込んだ問題作、と言っていいだろう。

エスニック・マイノリティーは裏社会に流れやすい。さきほどの『バラキ』がイタリア系アメリカ人の物語であった点を、思い出してほしい。

 

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・『俺物語‼』

鈴木亮平といえば、今年の大河ドラマ『西郷どん』の主演俳優である。ところが僕はまだ彼の主演映画を見たことがない、という事実に今更ながら気がついたw(;^_^A

というわけで、『俺物語‼』である。

本作の主人公・剛田猛男くんを演じるにあたって、鈴木はなんと体重を30㎏増量したというのだから唖然としてしまう(^▽^;)

かつて、ロバート・デニーロは『レイジング・ブル』というボクシング映画に出演するにあたって、体重を27㎏増量したというのは映画ファンの間では有名すぎる話だが、いやはや日本にもとんだ役者バカがいたものである。

そんな鈴木演じる剛田猛男くん。ガタイがよくて眉毛ビッシリ、見るからにオヤジ然としているのに、そんな彼が中学校を卒業するシーンから始まるというのだから、笑わずにはいられないw

……まぁ、率直に言ってしまうと、内容自体は昨今ありがちな漫画原作の安直な実写化、といった印象が否めないのだが――アニメ版のほうがよかったです――鈴木亮平の熱演は一見の価値がある。

 

俺物語!!

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・『メビウス

先日は、韓国映画界の鬼才キム・ギドク監督の作品を取り上げた。本日も、彼の映画を紹介するとしよう。本作『メビウス』は、韓国版「愛のコリーダ」と言うべき作品だ。

韓国のとある家庭。それなりに裕福そうだが、父親が浮気し、母親が精神を病んでいるなど、家族の関係は明らかにうまくいっていない。母親はついに、あろうことか息子のアレを斬ってしまう。アレを失った息子は、そのせいで周囲からいじめられる。これも自らの浮気のせいと罪悪感に苦しむ父親は、性器移植手術や性器無しでエクスタシーを得る方法などについて、懸命にインターネットで調べはじめる。

やがて、父と息子の関係は親密になり、事件後に行方をくらました母親も帰ってきたことで、奇妙な「一家団欒」の光景が現出する……

本作が特徴的なのは、セリフが一切ないという点。終始、パントマイムによる映画なのだ。キム監督はこのように不思議な作風で知られており、例えば日本からオダギリジョーを主演に迎えた『悲夢』では、周囲がみな韓国人というなかでオダジョーのみ日本語で演技しており、にもかかわらず作中世界では問題なくコミュニケーションが成立していたものだった。

キム監督のもうひとつの特徴は、その徹底した暴力描写。いやぁ、本作のそれは凄まじい。90分にも満たない短い映画であるが、痛々しいシーンがあまりに多すぎるので、早く終わってくれないものかとヒヤヒヤしながら本作を見ていた(;^_^A

謎めいたラストにいたるまで、(目を離したいけどw)目が離せない、そんな一作だ。

 

メビウス [DVD]

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