Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『輪廻転生を考える』

まさにタイトルのとおり、輪廻転生をテーマにした本である。

著者は、心理学者の渡辺恒夫さん。

 

本著は、輪廻転生という概念の歴史を振り返るところから始まる。続いて、「前世の記憶」に関するこれまでの研究が概観された後、著者自身がかつて考えたという「偏在転生観」なるアイデアが披露されるにいたる。

「偏在転生観? なんだそりゃ?」と皆さん不思議に思われることだろうが、それについては追って解説する(;^ω^)

 

渡辺さんはまず、日本には輪廻転生の伝統がない、というところから話を始める。

「えっ! そうなの!?」と驚かれる人も多いに違いない。

渡辺さんによると、日本では古来より浄土信仰などのほうが盛んで、輪廻転生という考え方は無かったのだという。

日本人が生まれ変わりについて口にするようになったのは、意外にも近代に入ってからのことだったのだ。

 

渡辺さんは、子供のころ、「どうして自分は自分なんだろう」と考えたことがあるらしい。

「はぁ? 何言ってるんだ。自分が自分なんて当たり前のことだろう」と多くの人は思うに違いない。だが僕には、子供時代の渡辺さんの気持ちがよく分かるのだ。

実を言うと、僕も子供のころ、やはり同様に「どうして自分は自分なんだろう」との疑問に憑りつかれることがあったのだ。

「どうして自分は、他の何者でもない、この古澤圭介という人間として、この世に存在しているんだろう?」

いったんこの考えに憑りつかれてしまうと、なんとも言えない“気持ち悪さ”に襲われ、僕はその場にへたり込んでしまう。そういうことが、半年に一回くらいの頻度であった。不思議と、小学校の高学年になったあたりから、そうした考えに憑りつかれることはなくなった。

僕はそれで考えを止めてしまった凡人であるが、渡辺さんはさすが京大で哲学を学んでいただけあって、僕ら凡人とは発想がまるで違う(^▽^;)

本著が俄然面白くなるのは、渡辺さん自ら「黙って墓場に持ち去るつもりだった」と語るアイデアが開陳されるところである。

渡辺さんはなんと、古今東西、老若男女、この世界に生きる(生きた)人間はすべて自分の前世あるいは来世なのではないか、というのだ。

たとえば私が死ねば来世ではトランプ大統領に生まれ変わる可能性があるし、そのまた来世では徳川家康に生まれ変わる可能性だってある、というのだ。

これが、渡辺さんの「偏在転生観」なのである。

ヒャー、こんな奇抜なアイデア、発想できる人がいるのか! と驚いたw

しかも渡辺さんは、自らの「偏在転生観」と同じアイデアを、なんと少女漫画『ショート・トゥイスト』のなかに見出したのだという。う~ん、侮りがたし、少女漫画!(;^ω^)

 

途中、哲学、論理学、あるいは物理学に関する難しい箇所もあるが、本著は一般の読者向けに書かれた本なので、とても分かりやすい。

輪廻転生についてあれこれ考えてしまう――そう、哲学というのは「考える」ものではなく「考えてしまう」ものだ――困った人たちには、おすすめの一冊だ。

 

輪廻転生を考える―死生学のかなたへ (講談社現代新書―ジュネス)

輪廻転生を考える―死生学のかなたへ (講談社現代新書―ジュネス)