Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第219回)

・『フェリーニのローマ

日本の地方出身者にとって東京が憧れであるように、イタリアの地方出身者にとってもローマは憧れであるらしい。

本作は、イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニが、おそらくは自らの内にもあるローマへの憧憬をテーマに撮ったと思しき作品である――フェリーニ監督も地方出身

1930年代と1971年(本作公開当時)のローマとが、交互に描かれる。

1930年代といえば、イタリアはファシズム政権期の真っただ中。今日、「ファシズム」という言葉には暗いイメージがつきまとうが、意外や意外、この時代でもローマの庶民たちは持ち前の明るさで日々を結構楽しんでいたようだ。

そして1971年。こちらでは溢れんばかりの圧倒的なエネルギーが描かれる。高速道路をビュンビュン行きかう車、若さと性を謳歌するヒッピーたち、カトリックの坊さんたちのためのファッションショー(!)、ローマの地下を掘削する地下鉄工事(ただし古代の遺構にぶち当たってしょっちゅう中断する)……。

ラストでは、夜のローマの街をバイクにまたがった無数の若者たちが爆音をとどろかせながら走って回る。

鬼才・フェリーニらしい一風変わったテイストの作品だけど、彼のローマへの愛情がよく分かる一作だった。

 

 

・『偉大な生涯の物語』

「偉大な生涯」とは、キリスト教の開祖イエス・キリストの生涯のこと。

本作は、新約聖書福音書が今日に伝えているイエスの足跡を映像化した映画である。上映時間3時間20分!

エスを演じるのは、マックス・フォン・シドーイングマール・ベルイマン監督の作品でたびたび主演を務めたことで知られる、スウェーデンの名優だ。

本作では、聖書でおなじみのイエスの諸々のエピソードが描かれていく。洗礼者ヨハネとの出会い、山上の垂訓、数々の奇跡――盲人の目を治す、死人を復活させる、等

そしてユダの裏切り、最後の晩餐を経て、十字架上での死とそこからの復活が描かれる。

今日の我々は、すでにあの凄惨な『パッション』(2004年公開)を見てしまっているので、本作で描かれるイエスの死はなんだかあっけないものに思えてしまうが、それでも名優シドーが演じるイエスは、さすがに威厳がある。

エスは処刑された当時、33歳であったと伝えられる。今の僕も同年齢なんだけどなぁ……。

 

 

・『ぼくの国、パパの国』

イギリスには、歴史的経緯から、南アジアからの移民が多い。

本作は、イギリスにおけるパキスタン系移民の家族を描いた作品である。

父親はパキスタン系で、母親はイギリス白人。子供たちは年頃だが、長男は父の決めた結婚相手を拒み、家出してしまう。

やがて他の子供たちも、専制的な父の支配に嫌気がさし、長男のもとを訪れる。長男は都市部でアパレル店員として働いており、人間関係を見る限り、どうやらゲイであったようだ。これでは保守的なムスリムの父親と相容れるわけがない(w

本作における父親の頑迷ぶりを見ているとイスラーム系移民の家庭は皆こうなのかと驚いてしまうが、作中での登場人物のセリフによれば、どうやらパキスタン本国の家庭のほうがむしろ近代化が進んでいるらしい。そういえば、ヨーロッパでの移民のほうがむしろ本国よりも保守的な生活を営んでいるという話を、昔、本で読んだことがあったっけ。

本作は、伝統的なムスリム社会と近代的なイギリス社会とのはざまでゆれる移民の若者たちを描いた、社会派の映画である。僕は、今年のはじめに紹介したトルコ系ドイツ人のファティ・アキン監督の作品を思い出しながら本作を見ていた。

 

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・『ブルーサンダー

タイトルの「ブルーサンダー」とは軍用の攻撃ヘリコプターの名前。このブルーサンダーのテストパイロットに選ばれた主人公は、しかしながら政府関係者のおそろし~い陰謀を傍受してしまう。主人公はいてもたってもいられず、ブルーサンダーを強奪、LA上空にて公権力を相手に孤独な戦いを繰り広げる。

夜のLAの街は、ビルや高速道路の灯りがなんとも美しい。そんな夜のLAを舞台に軍用ヘリでドンパチやるというのだから、緊迫感がないはずがないじゃないか(w

アメリカを代表する大都市のど真ん中なのに、ミサイルをガンガンぶっ放してしまって「おいおい大丈夫かよw(^^;)」と心配になるが、まぁしょせん、映画ですからね(w

 

ブルーサンダー (字幕版)
 

 

・『ブルー・マックス

ヘリコプターの次は、戦闘機の映画だ(w

今からちょうど100年前、1918年のヨーロッパは、第一次大戦の最終盤であった。本作はイギリス映画であるが、ドイツ空軍のパイロットの栄光と最後を描いた作品である。上映時間2時間35分!(途中休憩があります)

主人公ブルーノ・スタッヘル中尉は、ドイツ軍人にとっての最高の栄誉「ブルー・マックス勲章」が欲しくてほしくてたまらない。名誉欲に駆られた彼は、あの手この手を尽くし、ついに念願のブルー・マックス勲章を手に入れるのだが……

とにかく、空が実に美しい。地上戦は悲惨そのものであり、パイロットたちの人間関係もまた、実にドロドロとしたものである。

にもかかわらず、空は、空だけは、美しいのだ。