Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『完訳 Oの物語』

僕は、べつに文章がうまいほうじゃないし、べつに作家志望というわけでもないから、小説を書くなんてことは、普段しない。

だが以前、知人らの出している同人雑誌に寄稿を頼まれ、自作の短編小説を書いたことがあった。

それは、「男性優位共和国」という架空の国での話で、女性化願望のある主人公の男性が性転換手術を受けて女性となり、同国の制度のもとで“女性として”男性に支配され、差別されることによって、むしろマゾヒスティックな快感を覚えるという、なんというか、いろいろな意味での問題作であった(;^ω^)

 

だが世の中、どの分野にもちゃんと、先駆者がいるものである。

本日ご紹介する『完訳 Oの物語』学習研究社は、まさに女性が諸々のSMプレイを受けることによってマゾヒスティックな快感を覚えるという、フランスの官能小説である。

原著は、ポーリーヌ・レアージュの“Histoire d'O”(1954)。同著はこれまで、『O嬢の物語』というタイトルで澁澤龍彦によって翻訳され、わが国に知られていた。

近年になって、高遠弘美による新訳『完訳 Oの物語』が刊行された。今回僕が読んだのもこちらである。タイトルに「完訳」とあるのは、従来翻訳されていなかった箇所も今回はじめて日本語に訳された、という意味である。

 

本著は、フランスの女性ファッション写真家・Oが、とある城館のなかに監禁され、そこで性奴隷となるよう、男たちによって調教される、という内容である。

冒頭部分からしてスゴイ。たとえばOがオーラルセックスで男性に奉仕する場面。

≪自分の口は魅力的なのだ。Oはそう感じた。それは恋人がそこにペニスを入れてくれ、衆人環視のなかでそうした愛撫を委ねてくれたからであり、ついには口中で射精してくれたからである。Oはそれを神を迎えるかのように迎え、彼が叫び声をあげ、他の男たちが笑う声を聞いた。≫(44頁)

……本ブログの品位に関わるので(w)、これ以上の引用は控えさせていただく(;^ω^)

本著では一事が万事、こんな調子である(w

 

Oは、城館にて諸々のSMプレイを受けることによって、むしろ女性としての魅力を開花させてゆく。

自由ではなく、束縛こそが、彼女の女性としての魅力を高めたのである。

僕は、ルイス・ブニュエル監督のフランス映画『昼顔』を思い出す。カトリーヌ・ドヌーブ演じる主人公は、男に縛られ鞭打たれたいという欲望をひそかに抱えながら生きていた。彼女は実際に娼婦として働き、諸々の変態プレイを経験することによって、ますますその美しさに磨きをかけるのである。

……まったく、どうしてフランスにはこのテの変態しかいないのだろう?(w

 

本著は、フランス人に特有のアノ無駄に衒学的な文章――フランス人の書いた文章をよく読む人なら「あぁ、アレかぁ」とピンとくるはず――さえ除けば、僕にとってとても面白い作品であった。

うん、たまにはこういう本を読むのも、悪くはないね(w

 

完訳Oの物語

完訳Oの物語