Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第226回)

・『遊星からの物体X』

南極の観測基地が、謎の宇宙生命体「生きもの」(The Thing)に襲われる様子を描いた、アメリカのパニック映画である。1982年公開。

この「生きもの」、特定の形を持っているわけではなく、人間、犬などの地球の生命体のなかに入り込み、その身体を内側から乗っ取ることによって繁殖していく。これに乗っ取られてしまったら、さぁ大変。たちまち身体が異様に変形し、グロテスクな怪物となってしまうのだ。

だが変形するまでにはタイムラグがあり、その間は「生きもの」に感染しているのかどうか、外見からは分からない。基地の隊員たちは、かくして疑心暗鬼に陥る。

……という内容の作品であるが、まぁハッキリ言って、B級映画であるw(;^_^A

それでも、「生きもの」に感染した人間が変形する場面などは、一見の価値あり。以前取り上げた『ザ・フライ』もそうだったけど、80年代の映画って、VFXを用いたこういうグロい描写が多くて、面白いですね(w

 

 

・『郵便配達は二度ベルを鳴らす

さすらいの旅をしている主人公の男が、あるガソリン・スタンド兼レストランにて求人を見つけ、さっそく働き始める。その店の主人の妻はたいそうな美人で、男と妻はまもなく不倫の関係に陥る。こうなると邪魔なのは店の主人だ。ふたりは共謀して、主人の殺害を試みる……

作中、ふたりはつねにおびえつづける。前半は主人の目に。そして主人を殺害した後半は、警察の目に。

ふたりは、主人を殺したことによる罪の意識にさいなまれていく。本作のテイ・ガーネット監督は、そんなふたりの心理を丁寧に描き出してゆく。

僕は、先日見た『アレノ』を思い出しながら本作を見ていた。

 

 

・『乾いた花』

石原慎太郎といえば政治家という印象が強いが、彼の本業はもちろん、小説家である。

本作は、そんな石原の同名小説が原作。アプレゲール(戦後派)と呼ばれる破天荒な若者たちの暴走気味の青春を描いている。

池部良演じるやくざ者の主人公。彼の前に颯爽と現れるのが、加賀まりこ演じる若き女・冴子だ。

破天荒かつ破滅型の性格の彼女は、たとえばやくざ者たちが集う賭博場に姿を現しては、じゃんじゃん賭け事に興じるのである。彼女が夜の首都高を暴走するシーンに至っては、最高だ。

篠田正浩監督の前衛的な演出も冴えているし、アプレ――アプレゲールは略してこう呼ばれた――の若者をひやひやしながらも見守る年長世代の主人公を、池部が渋く、カッコよく好演している。

 

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・『処刑の島』

こちらも篠田正浩監督による作品。石原慎太郎もかかわってはいるが、こちらでは原作者でなく脚本家として、である。

本土からやや離れたところにある孤島。この島に今も旧日本軍のコスプレ……じゃなかった、軍服を着て生活しているのが、三國連太郎演じる元憲兵の男だ。この男は以前、アナーキストを殺害したという過去があり――おそらくは大杉栄を殺した甘粕正彦がモデルだろう――そのアナーキストの息子である主人公が父の敵を討つべく、この島にやってきたところから物語が始まる。

以前取り上げた『戒厳令』では戦前の右翼思想家・北一輝を熱演していた三國。やはり、彼の内面にはナショナリズムへの強いこだわりが存在したのだろうか。

……個人的には、さきほどの『乾いた花』のほうが好みでした。

 

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・『父の初七日』

さて、栄えある今月のトリを飾ってくれるのは、台湾版『おくりびと』ともいうべき内容の、台湾映画だ。

台湾のとある田舎町。ある初老の男性が亡くなった。さっそく、彼の娘、息子、そして親戚などが故郷に戻ってきて、葬儀の準備を始める。

本作では台湾の葬儀の様子を垣間見ることができ、とても興味深い。隣国だというのに、日本とはずいぶん違う。たとえば親族は、交代で夜を徹して遺体の見張り番をしたり、出棺の際には柩に泣きつくことを義務づけられていたりする。玄関の前に缶を積み上げてタワーをつくるのも、日本では見られない風習だ――劇中、この缶の中身が噴出してちょっとした騒ぎになる

だが、故人を想う心は、万国共通だ。娘は葬儀を通じて、父親との心温まる思い出を回想していく。ラスト、仕事先の香港の空港にてふと父のことを思い出した彼女は、ひたすら涙を流す。葬儀を通じて、人は故人にまつわる記憶を思い出し、それがその人の後の人生に影響を与えていくのである。

同じくお葬式をテーマにした東アジアの映画ということで、僕は以前取り上げた韓国映画『祝祭』を思い出しながら本作を見ていた。

だが『祝祭』と比べると、本作の描写はなんともコミカルだ。やはり、台湾らしいおおらかな南国気質が反映しているのだろうか。面白い。

 

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