Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第232回)

・『誰よりも狙われた男

ジョン・ル・カレというイギリスのスパイ小説作家の原作を映画化したもの。

ドイツ・ハンブルグを舞台に、イスラーム過激派の青年と、彼を追う諜報機関の暗闘を描く。

本作の特徴は、そのリアルなつくりにある。スパイものといっても、『007』的なド派手なアクションシーンは皆無。むしろミステリーに近く、登場人物の心理的駆け引きなどをじっくりと見せてくれる。玄人好みの映画、と言っていいかもしれない。

……まぁ僕自身は『007』みたいなド派手なアクション映画のほうが好みですけどね~(ボソッ

 

 

・『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』

いやぁ、驚いた。こんな映画の作り方があったのか(w

高速道路でひたすら車を走らせる、主人公の男。彼は車内電話を使って複数の人物と通話を繰り返す。ただそれだけの映画だ。いや、ホントそうなんだってば!(w

通話内容に耳を傾けると、どうやら男は大手ゼネコンの結構な要職についていて、巨大ビルの建設工事の現場監督を任されていたようだ。ところがそんな重要な仕事をおっぽり出して、男はこれからひとりの女性の出産に立ち会うのだという。

しかもその女性というのが、妻ならまだしも、なんと不倫相手であるというのだ!

男は上司に職務放棄する旨を告げた後――当然上司からはクビを宣告される――自宅にいる妻にも電話をかけ、不倫していたことを打ち明ける。当然、妻は激怒し、離婚すると言う。

かくして一夜のうちに仕事も家庭も失った主人公であったが、にもかかわらず工事現場にいる後輩にあれこれと指示を出したり、出産する不倫相手を気遣ったりする。責任感があるんだかないんだかよく分からない男だ(w

ラスト、不倫相手は無事出産し、仕事も家庭も失ったはずの主人公がそれでもなお新たな人生へと踏み出すことを予感させつつ、映画は意外にも後味の良い終幕を迎える。

いやぁ、上映時間が86分で良かった。これだけ中身の濃い映画が2時間だと、正直キツかったよ(w

 

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 [DVD]

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・『スポットライト 世紀のスクープ』

先日取り上げた『ニュースの真相』フェイクニュースの話だったが、本作のほうはちゃんとメディアがスクープ報道に成功したというお話である(w

2001年、ボストン。地元紙『ボストン・グローブ』は新しい編集長を迎えた。編集会議にて、新編集長はカトリック教会による児童への性的虐待疑惑を取り上げるが、記者たちはみな一様に表情を曇らせる。どうやらボストンではタブー視されているネタであるらしい。

それでも新編集長の指揮のもと取材が続けられるうち、なんとボストンに住む90名ちかくもの神父が性的虐待に関わっているらしいことが分かってくる……。

本作を見ていると、聖職者の結婚を禁ずる戒律はやはり問題があるのではないか、との思いを強く抱く。

話はややそれるが、日本の仏教は明治以降、僧侶の結婚を認めたため、今なお戒律の厳しい東南アジアの上座部仏教からはしばしば白眼視されると聞く。しかし、結婚を戒律で禁止したところで、人間の性的欲求が解消されるわけでは決してない。かりに強い性的欲求を抱えた聖職者がいるとして、彼の性的暴力の矛先が子供たちに向けられるおそれは、十分に考えられる。

実際、日本でも前近代までは、僧侶が男児と性行為に及ぶ例があったことが古文書から知られている。そして現在でもなお妻帯を禁止しているカトリック教会では、まさに本作で描かれているように、聖職者による児童への性的虐待が続発しているのだ。

うーん、やっぱり、僧侶の結婚を認めた日本仏教の選択のほうが、正しかったのではなかろうか。

 

 

・『ラ・ジュテ

荒廃した、第三次世界大戦後のパリ。主人公の男はタイムスリップの技術によって、まだ戦争が起こる前の、平和な時代のパリへと送られる。そこで彼は、かつて少年期に見たことのある、ある女性と“再会”を果たす……。

本作の一番の特徴は、全編がスチール・カット(静止画)で構成された映画だということだ。その意味では「動画」ではない映画、とも言える。

この特異な手法のため、本作は上映時間わずか29分という短編映画ながら、観客に極めて強い印象を残すことに成功している。

以前取り上げたことのあるアメリカ映画『12モンキーズ』は、実を言うと本作のオマージュであるらしい。う~む、僕は『12~』よりも本作のほうが好きだなぁ。

 

ラ・ジュテ [DVD]

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・『我らが背きし者』

こちらも先ほどの『誰よりも狙われた男』同様、スパイ小説作家ジョン・ル・カレの原作を映画化した作品。

イギリス人の主人公夫妻が休暇でモロッコに滞在中、あるロシア人富豪と親しくなる。ところがこのロシア人富豪、その正体はマネー・ロンダリングを担当するロシアン・マフィアであった。彼と出会ったことで、主人公夫妻は世界をまたにかけた危険な亡命劇へと巻き込まれる羽目になる。

『誰よりも~』と同じく、本作もアクションは極力控えめで、かわりにロシア社会の暗部などをじっくりと描き出す。それが本作に強いリアリティーをもたらしている。

それにしてもロシアというのはつくづくしょうがない国だなぁ、と思った。全体主義国家・ソ連がようやく滅んだと思ったら、今度はマフィアの国ですか。