Furusawa Keisuke's blog

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書評『性愛奥義』

古代インドの聖典『カーマ・スートラ』には、前々から関心があった。

なんでも聞くところによれば、聖典だというのにその中身たるや、エッチなこと、不謹慎なことでいっぱい。挙句には「人妻を誘惑する章」まであるというではないか!

うーむ、『カーマ・スートラ』、気になる……(;^ω^)

そういうわけで、今回、この性典……じゃなかった(w)聖典について解説してくれる新書、『性愛奥義 官能の「カーマ・スートラ」解読』講談社を手に取ったという次第である。

著者は、宗教人類学者の植島啓司さん。掲載されている(若い頃の)顔写真を見ると、なかなかの男前である。

 

植島さんの解説によると、『カーマ・スートラ』では性愛の対象として「妻」「遊女」そして「他人の妻」の三つが想定されているという(何故!?w)。さらに冒頭からして「人妻に対する愛情がある段階の強さからさらに他の段階へ移る場合、われとわが命を救うため、彼女に言い寄ってもさしつかえない」などと平然と書かれているという。す、スゴすぎるぞ、『カーマ・スートラ』……

 

『カーマ・スートラ』は、(人妻も含めた)女性へのアプローチの仕方から、なんと本番の仕方まで、懇切丁寧に教えてくれる。

たとえば、「簡単に手に入る女の条件」が実に41項目も列挙されているほか、「間男の二十四の条件」なる記述まであるのである。

『カーマ・スートラ』は、男女の出会いの指南書であると同時に、セックスのハウツー本でもあったのだ。

その性に関する記述は実に細かく、古代の書物だというのにすでにオーラルセックスに関する詳細な記述があるというのだから驚いてしまう――たとえばフェラチオのやり方として、同書は8つのパターンを挙げている

このほかにも、性交時に男性のなすべき行為として、「貫通」「摩擦」などの9項目が規定されており、そのなかには「猪の一撃」なる意味不明の項目まで含まれているというのだから、これはもう笑うしかない(;^_^A

 

『カーマ・スートラ』はこのように、聖典のくせにとても「笑える」書物だ。

同書が笑えるのは、我々にはクダラナイと思える内容についても、実に大真面目かつ淡々と記述しており、しかも現代の我々の価値観からすれば非常識ないし反社会的としかいいようのない言動であっても、これまた実に淡々と記述しているからである。

これは、ちょっと「サイコパス」っぽい感じがして、恐ろしくもあるのだが、同時に我々に笑いをもたらしてくれることも、また事実である。

これは、「お笑い」という現象の本質にもかかわる話だろう。

お笑いというのは、クダラナイことを大真面目に伝えようとするときに起こる現象である。『カーマ・スートラ』はまさにそれだ。

同書は、性の聖典であるのみならず、お笑いの聖典でもあったのである。

 

著者・植島さんの語り口も終始ユーモラスで、本著に更なる面白みを加えてくれている。

 

性愛奥義 官能の「カーマ・スートラ」解読  講談社現代新書

性愛奥義 官能の「カーマ・スートラ」解読 講談社現代新書