Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第235回)

・『夜空はいつでも最高密度の青色だ』

川の底からこんにちは』『舟を編む』などで知られる石井裕也監督の最新作。

雰囲気は、以前取り上げた『恋人たち』と似る。デフレ不況下の鬱屈とした労働環境のなかで、それでも毎日を懸命に生きる市井の人々が主人公だ。

もっとも、『恋人たち』が「救いがないことこそが救い」といういささか奇妙な映画だったのに対し、本作のほうはその点、救いがあると言えよう。ラスト、主人公の男女ふたりが結婚するからだ。それまでずっと気だるげな表情を浮かべていた彼女が、最後に明るい顔になってくれるのが、見ているこちらとしても嬉しい。

さて、石井監督は本作を通じて現代の日本社会を描きたかったのだと思われるが、これを2010年代後半の今、公開するというのは、失礼ながら「やや遅れている」感じがしないでもない。アベノミクスのおかげで、日本の経済状況、とりわけ労働環境はかなり好転したからだ。

 

 

・『ヒトラーへの285枚の葉書』

ナチス時代のベルリンにてヒトラーを中傷する手紙をばらまき続けた夫婦の話である。実話に基づく。

主人公夫婦は、一人息子を戦争で失ってしまう。ヒトラーへの怒りに燃える夫は、ヒトラーを中傷するはがきを、首都ベルリンのあちらこちらにばらまき始める。事態を重く見たゲシュタポ(秘密警察)は、さっそく捜査を開始する。

ラスト、夫婦を捜査する側だったゲシュタポの警部が、彼らに感化されたのか、ある意外な行動を見せる。

本作で、最も感動的なシーンだ。

 

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・『ぼくのバラ色の人生

主人公の男の子には、「女の子になりたい」という望みがある。恋愛対象も、近所の男の子だ。

そんな彼を、周囲の大人たちは気味わるがって遠ざけようとする。そのせいで、男の子の家族は引っ越しを余儀なくされる。ところが引っ越した先で男の子が出会ったのは、こちらは「男の子になりたい」との願望を持つ女の子であった。

本作は、フランスを舞台とする欧州の合作映画。フランスは、性に関してはもうちょっと進んでいるイメージがあったが、本作を見るところ、まぁ田舎が舞台のせいもあるだろうが、意外にもLGBTへの偏見はまだ強いようだ。

見ていてイライラさせられるのが、男の子の両親の無理解。「ええいっ、この子を俺に養子にくれ! 俺が代わりにこの子を育てる!」と何度思ったことか(w

男の子を演じた子役の少年が、またなんともカワイイ。

 

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・『おこげ OKOGE』

LGBT映画、二発目(w

ひょんなことからゲイのカップルと仲良くなってしまった、不思議ちゃん系女子のお話。タイトルの由来は、「おかまにくっついている=おこげ」ということから。

この不思議ちゃん系女子、べつに腐女子というわけでもなさそうなのに(w)、どうしてゲイに惹かれたのだろうか。

それは、ゲイがノンケ(一般人)とは異なる、独特のメンタリティーを有しているからだろう。

作中、ゲイバーにて、ゲイのひとりが「私たちは差別されたいの! 世間から後ろ指をさされたいのよ!」と言い放つ。

おいおい、ドMかいな、と思ってしまうが、そういうわけではないのだろう――いや、そうなのかもしれないが(;^_^A

差別はたしかに酷だ。が、見方を変えれば、その差別のおかげで彼らはゲイとしての強固なアイデンティティーを保ち、また仲間たちとの絆も維持することができるのである。

ゲイたちの、こうした独特の、しかも強固なメンタリティーに、きっと主人公の不思議ちゃん系女子は惹かれたに違いない。

 

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・『銀魂

週刊少年ジャンプ』の人気漫画『銀魂』は、全編にみなぎる和風テイスト、やるときにはやる主人公、ハードな下ネタ、80年代フジテレビ的な楽屋オチ……と、すべての要素がまるでジグソーパズルのピースのように僕の感性とピタリと合致する、奇跡のような作品だ(w

その『銀魂』が、世の趨勢には抗えず(?)、ついに実写化されてしまった。

人気漫画の実写化映画は、周知のとおり、たいていの場合クソである。本作も、見る前までは不安だったのだが……

意外や意外、制作陣は原作ファンをかなり意識、尊重しながら本作をつくっているらしいことが伝わってきて、「あぁ、これならまぁ、合格点をあげてもいいかな」という気になった(w)。異星人によって開国させられた独特の幕末の街並みも、意外とリアルに再現出来ている。

ストーリーは、てっきりオリジナル脚本なのかと思いきや、原作のなかでも屈指の人気エピソード「紅桜篇」を描いたもの。キャラクター紹介も、最小限に抑えられている。制作陣がちゃんと原作を読みこんでいること、原作ファンを主要なターゲットとして意識していることが、たとえばこういうところから分かるのである。

主人公の「銀さん」こと坂田銀時を演じるのは、小栗旬。やや残念なのは彼の声が高めなことで、「おいおい、銀さんはCV:杉田智和なんだからもうちょっと低音のバリトンボイスじゃないと駄目だろっ」とツッコミを入れながら見ていたのだが(w)、それ以外はわりと雰囲気が合っていて、好演だったと思う。

なによりも素晴らしかったのは、神楽役の橋本環奈だ。時折浮かべる変顔もいかにも神楽らしいし、声も釘宮理恵に似ている。間違いなく、本作のMVPだ。

……あ、武市変平太役の佐藤二朗の“怪演”も面白かったです(w