Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『空海さんに聞いてみよう』

昨日は松岡正剛さんの『空海の夢』を取り上げた。今日も引き続き、空海に関する書籍をご紹介するとしよう。

といっても、前回とは違い、こちらは読みやすい本なので、どうかご安心を(w

本著『空海さんに聞いてみよう 心がうれしくなる88のことばとアイデア徳間書店は、真言宗の僧侶・白川密成さんが、空海の有名な言葉を現代語訳、一冊の本にまとめたものである。

記憶力に優れた読者の方ならば、以前、本ブログにて取り上げた『宮崎哲弥 仏教教理問答』のなかで宮崎さんと対談した5人の仏教者のうちのひとりがこの白川さんだったことを、記憶にとどめておられるはずである。

 

本著は、地、水、火、風、そして空の全5章で構成される。

真言宗に詳しい方ならこれを見てすぐにピンとくることだろう。この章立ては、密教における五大――この世界を構成する五つの要素――にちなんだものである。

それぞれの章にて、空海の言葉がひとつずつ、紹介されていく。いずれも平易な現代語に訳されているから、皆さんの心のなかに、まるでスポンジに吸収される水のように、スーッと浸透していくことだろう。

 

本著からは、空海の意外な姿が次々に見えてくる。

彼は意外にも、人生の岐路に立たされたとき、涙したという(72頁)。僕は、空海という人は自信満々&自意識過剰の無敵超人キャラだとばかり思っていたものだから、この言葉は、意外に感じられた。

彼の次の告白にも、ホッとさせられる。はじめて密教の経典を読んだとき、そこに極めて重要なことが書かれていると直感しながら、読んでも読んでもいっこうにそれを理解できなかった、という告白だ(132頁)

あぁ、あの文法が死ぬほど複雑なことで有名なサンスクリット語を短期間でマスターした超天才の空海さんですら、最初に密教に触れたときは意味が分からなかったんだ(w

この「なんかスゴイことが書いてあるのは分かるんだけど、全然意味が分かんない」というのは、僕自身、よく経験することでもある。たとえば昨年取り上げた小説『太陽を曳く馬』でも、中盤、曹洞宗の学僧らがオウム真理教の教義を論駁するシーンは、全然意味が分からなかったけれど、なんかスゴイ、と感じられたものだ。

有名なことわざ「弘法筆を選ばず」が実は逆だったという話は、僕にとってはかなり新鮮な発見だった(w)空海はむしろ「文字を巧みに書く人は必ず良筆を用いるものである」――つまりちゃんと筆を選べ、と説いていたのだw(40頁)

空海はまた、意外にもミカンが好物であったというw(80頁)。う~む、だんだんと空海さんが、身近に思えてきたぞw(;^ω^)

 

このほか、面白かったのが、著者である白川さんが意外にも怒りっぽい性格の持ち主だったということ。そういえば、本ブログでたびたび著作を取り上げている浄土真宗僧侶・釈徹宗さんもまた、とても怒りっぽい性格だと自著で告白していたっけ。

お坊さんって、意外と怒りっぽい人が多いのだろうか。仏教は、怒りを三毒のひとつに挙げ、克服すべき煩悩のひとつだと戒めているというのに(w

そういえば禅宗だって、「不立文字」(本当に大事なことは言葉では説明できない)というわりには、禅寺のお坊さんはおしゃべりな人が多いし――京都の禅寺なんか特にそう――「怒るのは良くない」というわりには、怒りっぽいお坊さんは、結構多いのだ。

仏教って、なんだか面白いね。