Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第238回)

・『きみに読む物語

アメリカの、とある介護施設。ひとりの老人が、同じ施設に入所している認知症の老女に、自らの半生を語って聞かせる。

老人は10代のころ、ある女性と恋愛をしていた。女性は上流階級の出身であり、対する老人は労働者階級であった。「身分違いの恋」のため、ふたりの関係はいったんは破局に向かう。

ところが成人して後、ふたりはひょんなことから再会を果たす。彼らの恋はふたたび燃えあがる。

本作は、基本的に回想シーンからなり、その合間合間に現在(主人公の老年時代)のシーンが挿入される。

問題は、老人が語って聞かせている老女はいったい、老人にとっての何者なのか、という点。物語が進むにつれて、それが明らかになってくる。

最後に老人が起こす“奇跡”が、本作の一番の見どころだ。

 

きみに読む物語 [DVD]

きみに読む物語 [DVD]

 

 

・『アイアン・スカイ

ナチスといえば、オカルトマニアの間では今も人気の的(などと言っていいものかどうかw)。第二次大戦後も、ヒトラーが南米に逃れたとか、南極大陸ナチスの巨大な秘密基地があるとかいったうわさが後を絶たない。

本作は、まさにそんなオカルト陰謀論をテーマにした映画。なんと、月の裏側に建設された秘密基地からナチスの残党たちがUFO(これまたオカルト本の定番ですね!w)に乗って地球侵略をたくらむ、というお話である。

この筋書きからただちにご理解いただけるように、本作はB級映画である。はじめのうちはバカにしながら見ていたのだが(w)、意外にも現下の国際情勢への風刺が効いていて、そのせいで僕はこの映画をどうにも嫌いになれないのだ(;^ω^)

たとえば、「UFOが攻めてきたぞ! いったいどこの国の秘密兵器だ!」と国際会議が紛糾するなか、北朝鮮の代表が「あれはわが国の領導様が設計されたUFOだ」と誇らしげに発言し、他国の失笑を買う場面などは抱腹絶倒モノである(ww

あるいは、国際条約違反を指摘された米国大統領(女性である)が「アメリカはいいのっ!」と開き直る場面などは、いかにもアメリカ・ファーストを掲げるあの国らしいではないか(w

ナチス月面基地のなかに女性や子供も多くいるにもかかわらず容赦なく攻撃しまくるところも、いかにも「対テロ戦争」の大義名分のもと民間人を空爆しまくる、かの国らしい。

かくして、今日の世界における真の脅威はナチスの残党などよりもむしろ、アメリカとそれを中心とする主権国家体制であることを告発しつつ、本作は幕を下ろすのである。いやぁ、なかなかに風刺の効いた映画ですこと(w

アメリカ映画ではなく、ドイツ、フィンランド、オーストラリアの合作映画であるからか、劇中、ナチスの将校たちがちゃんとドイツ語で会話するところも、僕的にはポイント高し。英語を話す場面もあるのだが、そこではちゃんと英語を話す必然性(米兵と会話するため、英語の勉強をするため、等)が示されている。この点、クエンティン・タランティーノ監督『イングロリアス・バスターズ』と似ている。

ニコ動でもおなじみ『ヒトラー最後の12日間』のパロディー・シーンもあるので、乞うご期待(w

 

 

・『アイリス』

先に挙げた『きみに読む物語』同様、こちらも認知症の女性と、彼女を介護する老人の物語である。もっとも、こちらの場合、ただの認知症ではなくアルツハイマー症であるのだが。また、『きみに読む物語』の老女が市井の女性であったのに対し、こちらはインテリの女性学者である。

主人公の老人の妻は、高名な女性哲学者。若い頃から実に奔放かつ我の強い性格の持ち主である――まるでハンナ・アーレントのようだ

そんな彼女も、現在ではアルツハイマー症のせいですっかりその知性を喪失してしまった。老人は、献身的に妻の介護を続ける。本作は、過去と現在とを並行して描いていく。そのため、かつて活動的だったころの彼女と、アルツハイマー症に侵された現在の彼女との落差が、ひときわ際立つ仕掛けになっている。

あんなにも自由奔放だった女性が、まさかこんなになってしまうなんて……

きみに読む物語』が、感動的ではあるのだがいささかロマンチックに描きすぎるきらいがあるのに対して、本作は介護の様子などを実にリアルに描いている。アメリカ映画とイギリス映画の違い、なのだろうか。

若い頃の妻を演じるのは、ケイト・ウィンスレット。あの『タイタニック』からまだ4年しか経っていない時点で撮られた映画である。いささかふくよかにすぎる観があるが(w)、若々しくて大いによろしい。

 

アイリス [DVD]

アイリス [DVD]

 

 

・『キング・オブ・キングス

イエス・キリストの伝記映画である。上映時間は実に3時間弱にも及ぶ大作だ。冒頭のoverture(序曲)だけでも5分くらいある(w

本作で描かれるのは、『新訳聖書』でおなじみの、イエスの言動だ。荒野で悪魔の誘惑を退ける場面、「このなかで罪を犯したことのない者がこの女に石を投げよ」と命じる場面。

なによりも印象的なのが、中盤で描かれる「山上の垂訓」だ。

小高い丘に、人々がズラリと並ぶ。イエスはその一人一人に、丁寧に説法をする。注目すべきは、それが教祖と信者との一対一のコミュニケーションだということだ。

優れた宗教者は、コミュニケーションを重視する。イエスは、直に信徒たちの目を見て、教えを説く。人々は、そんなイエスに感化され、彼に付き従う。

エスを演じるジェフリー・ハンターのブルーの瞳がひときわ印象的。こんな澄んだ目で見つけられたら、誰だって付いていっちゃうよね~(w

光と影のコントラストもお見事。まるでフェルメールの絵画を見ているかのようだった。

 

キング・オブ・キングス [DVD]

キング・オブ・キングス [DVD]

 

 

・『憑神

幕末の江戸。妻夫木聡演じる浪人の主人公が、酔っぱらった勢いで場末の神社にお祈りをしたところ、貧乏神、疫病神、死神という、まったくもってありがたくもなんともない神々を呼び寄せてしまった。主人公の運命やいかに……

という内容の日本映画。主人公には計3人(3柱というべきか)の神々が憑くわけだが、そのうちの死神はなんと幼女! こんなカワイイ死神なら僕も憑依されたいものですなぁ(w

セットもとてもリアルに仕上がっていて、感心した次第。というか、ストーリーよりもむしろセットのほうが気になって見ていました(w

 

憑神 [DVD]

憑神 [DVD]