Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第239回)

・『最後の誘惑』

いやぁ、新しい月に入って早々、物凄い映画を見てしまったな、と感じた。

本作『最後の誘惑』は、巨匠マーティン・スコセッシイエス・キリストの生涯を映像化した作品である。

本作で描かれるイエスは、等身大の人間にすぎない。ちょっと中二病っぽいところもあるけど(w)、1世紀のパレスチナの地に生きた、ひとりの普通の青年である。

かの有名な「山上の垂訓」も、本作では実に素朴に描かれる。まるでヒッピーたちのティーチインを見ているかのようだ(w

そんな青年イエスも、次第に宗教家としての自覚を深めていくように見える。

……否、そうか? 神殿内の商店を次々破壊していく場面での彼は、宗教家というよりかはむしろ「革命家」といった方がふさわしい印象だ。スコセッシはイエスを、20世紀の革命家のイメージとダブらせたかったのかもしれない。

なんとも意匠を突かれるのが終盤。イエスは史実どおり磔になるが、そこに天使が現れ、なんとイエスを救出してくれるではないか。助け出されたイエスは、彼を慕うマグダラのマリアと結婚、子宝にも恵まれ、幸福な老年期を迎える。

……え? ちょっと待って、いったい何なんだコレは!?(w

ラストにてどんでん返しがあり、そこでようやく本作のタイトルの意味が分かるという仕掛けである。

レンブラントの絵画の影響も受けたという映像がとても美しく、本作の見どころのひとつとなっている。まさに、巨匠の仕事と呼ぶにふさわしい一作だ。

 

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・『JESUS 奇蹟の生涯』

これまたイエス・キリストの生涯を描いた作品である。

ナザレの青年・イエスは30代に入り、宗教活動を開始するが、そのあまりに革新的な言動ゆえに周囲の反撥を招き、最後にはゴルゴダの丘で処刑されてしまう。

先程の『最後の誘惑』と比べると、こちらはCGも見るからに安っぽいし、ストーリーもぶっちゃけ大したことないが(w)、それでも、ラストにてこれまた悪魔がイエスを誘惑するのは、ちょっと興味深い。

悪魔はイエスに、十字軍や魔女狩りなど将来の世界を見せ、「ほら、お前のせいでこれほどの人が死ぬ。それでもお前はメシアになるのか」と問う。イエスは、さてどうこたえるか。

彼は、人間の自由意志を尊重し、メシアとして死ぬことを告げるのである。

 

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・『ジーザス』

キリストの生涯を描いた映画、まさかの3連発(w

お次は、彼の生涯を“女性の視点から”描いた作品だ。

なんとも気の強い性格の女性・マリアは、処女懐胎によりイエスを産む。イエスはやがて、クリスチャン・ベール演じる超絶イケメンの青年へと成長する。彼は宗教家としての自覚に目覚め、各地で布教の旅を続ける。

終盤、そのイエスが処刑されてしまい、弟子たちが大いに動揺するなか、必死で教団を支えたのは、聖母マリアであり、またマグダラのマリアであった。

男の弟子たちは、平時では「どうせ女なんて」と彼女たちを見下していたが、その男たちは、いざというときには実に情けない。キリスト教は、女の強さによって支えられた宗教であったのだ。

ラスト。イエス・キリストの復活と昇天を見届けたマリアは、さらなる布教へと情熱を燃やす。

う~む、これは「ジーザス」というより、もはや「マリア」の映画ですな。

 

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・『オー!ゴッド』

神の子・イエスの次は、なんと神様ご本人が登場する映画である(w

カリフォルニアに暮らす、冴えないスーパーマーケット店員の主人公。そんな彼が、突如として神からの啓示を受けてしまったものだから、さあ大変!

さっそく神からのメッセージを世に伝えようとするが、案の定、周囲からはキ〇〇イ扱いされ、妻との関係も微妙なものになってしまう……という内容のコメディ映画である(w

しかしながら、コメディといえども、本作は意外と深い。

たとえば、カーネル・サンダースのような冴えない爺さんの姿で主人公の前に現れた神に対し、主人公は「どうしてこの世には悪があるのか」と、神学の世界では定番の問いを投げかける。

神は、「人間の自由意志を重んじたからだ」と答える。製作者たちの神学の教養をうかがわせる一幕だ――上掲の『JESUS 奇蹟の生涯』にて、やはりイエスが悪魔からの問いに、人間の自由意志を尊重する、と答えていた点を思い出してほしい

終盤が法廷劇になるあたりは、いかにもアメリカ映画らしくて、僕は気に入っている(w

余談ながら、今回僕が見たDVDでは、神のセリフのみ黄色の字幕で表示されていた。黄色の字幕なんて、初めて見たよ(w

 

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・『フィラデルフィア

さぁ、そろそろキリスト教からは離れよう(w

デンゼル・ワシントンといえば、社会派作品に好んで出演することで知られる、黒人の名優である。彼の出る映画には、ハズレというものがない。

デンゼル・ワシントンにハズレなし。皆さんもこの機会にぜひ覚えておいてほしい。

さて、そのワシントンが、これまた名優のトム・ハンクスと共演したのが、本作『フィラデルフィア』である。

ハンクス演じる白人弁護士は、ある日突然、法律事務所を解雇されてしまう。自らがゲイであり、またHIVを発症したのが解雇の原因だと考えた彼は、事務所を相手に訴訟を起こし、ワシントン演じる黒人弁護士に弁護を依頼する。かくして、同性愛者の解雇は不当か否かを巡り、法廷闘争が繰り広げられることとなった。

黒人弁護士のほうはノンケ異性愛者)であり、当初は同性愛者を嫌悪していた。それでも、「自分は同性愛者が嫌いであっても、法の下の平等は守られねばならない」との弁護士としての良心ゆえに、彼は白人弁護士の弁護を引き受けるのである。

そんな彼も、しかしながら白人弁護士と接するうち、その心境に変化が訪れる。とりわけ大きな転機となるのが、白人弁護士が音楽に合わせて踊るシーン。ゲイに特有の、あの妖艶な表情が、なんとも言えない魅力を醸し出す。この微妙な表情までをも表現できてしまうハンクスの演技力は、やはり卓越している。

同性愛者の差別について、そしてHIV患者の差別について、考えさせられる作品であった。

付け加えれば、本作の舞台であり、タイトルともなっているフィラデルフィアには、「兄弟愛」という意味がある。