Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第246回)

・『ハイ・ライズ』

イギリスの架空の高層マンション。

ここでは高い階ほど富裕層が、低い階ほど貧困層が住んでいる。

貧困層は、享楽的な毎日を過ごす。富裕層はというと、連日仮装パーティー(w)。だが、これまたどこか、退廃的なムードが漂う。

次第に、マンション全体が異常なムードに包まれていき、ついには殺人事件や住民の発狂が日常茶飯事となっていく……

本作に、派手なアクションシーンはない。マンションが徐々に狂気に蝕まれていく様子を、落ち着いたタッチで描いている。

このマンションは、貧富の格差が増大する現代社会の縮図であろう。今日の社会が抱える狂気と、崩壊の危機とを描いた社会派の佳作だ。

 

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・『グリニッチ・ビレッジの青春

1953年のNY。22歳の青年が俳優の夢をかなえるべく、実家のあるブルックリン地区からマンハッタンのグリニッチ・ビレッジ地区へと引っ越しをする。

芸術家の街としても、そしてゲイの街としても有名な、グリニッチ・ビレッジ。青年はそこで、同じ俳優志望の若者たちと演劇の訓練を受けながら、ときに遊び、ときにバイトに精を出し、青春を謳歌する。

……実を言うと僕も学生時代に英語劇(!)をやっていたことがあり、「あ~、そうそう、演劇の訓練ってこんな感じだよな~(w」と過ぎ去りし日々を懐かしがりながら(w)本作を見ていた。

主人公は親元を離れたとはいえ、その親元があるのは同じニューヨーク市内。そのため、心配症の両親がしょっちゅう、グリニッチ・ビレッジの青年の部屋へと押しかけてくる。そして食料を与えていく……というか、一方的に押しつけていく!(ww

こういう心配症の両親――とりわけ、母親――がいる点も、これまた僕と似ていて、思わず苦笑いしてしまったw(;^ω^)

とてもさわやかな、後味の良い青春映画であった。

 

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・『はじまりへの旅』

左翼活動家のお父さん。子供たちを学校には通わせず、自分流の教育で育てている。

その教育方針たるや……。キャンプで子供たちに狩りを体験させたり、ナイフを使った護身術を身につけさせたり、とかなり本格的な内容。夜には読書をさせるのだが、その本も、自然科学、社会科学や文学など、それぞれの分野を代表する名著ばかり。子供たちが本の感想を述べる際にも、単に「面白かった」だけでは落第点。それでは食レポで「おいしかった」と言うのと同じだからだ。具体的に、どこがどう興味深かったのかを理路整然と説明できなくてはならない。

この家に、母親はいない。どうやら離婚したようなのだが、その母親が亡くなったという。母親の実家からは案の定、煙たがれているようで、葬儀への参列を断られるが、そこはさすが左翼活動家のお父さん(w)、この程度のことで諦めるまじ、と子供たちと一緒にキャンピングカーを走らせ、母親の葬儀会場へと強行突破を図る。

それにつけても驚かされるのが、子供たちの“教育成果”だ。母親の兄弟の家の子供たち――つまりはいとこたち――は、ごく普通の子供らしく、家でゲームばかりしている。中高生である彼らに、左翼活動家のお父さんが「権利章典とは何?」と質問してみても「何ソレ? おいしいの?」みたいな反応である。一方、お父さんは8歳になる我が子を呼び寄せ、権利章典について質問すると、彼女は実にすらすらとそれを暗唱し、その意義までちゃんと自分の言葉で説明してしまうではないか。あんぐりと口を開けるいとこたち。

学校教育など受けていなくても、子供たちはちゃんと知的に育っていたのだ――実際、子供たちのなかの長兄がひそかに有名大を複数受験し、ことごとく合格していたことが明らかになる

僕はもちろん左翼ではないけれど、「あ、このお父さんの教育方法、なかなかいいな~」と不覚にも感心してしまったw(;^_^A

 

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・『ハードコア』

記憶を失い、さらにはサイボーグ化手術まで施されてしまった主人公(仮面ラ〇ダーかいなw)。次々と迫りくる追っ手から逃れつつ、彼は自らの巻き込まれた事件の真相へと迫っていく。

一貫して一人称視点、つまりは主人公の視点で撮影された映画である。そのうえでド派手なアクションをやるものだから、観客である僕はいったいどうなったか。

酔ってしまったのだ(w

う~む、映画を見て酔うだなんて、初めての経験だよ……(;^ω^) 皆さんは気をつけてね(w 

ネット上を見てみると、酔ったという人はけっこう多かったようだ(w

最後にはどんでん返しもあり、なかなかに楽しめた。

本作の舞台は、ロシアの首都・モスクワ。日本ではモスクワというと、まだ旧ソ連のイメージから抜け出せていない人も少なくないかもしれない。

そういう人は、本作を見て驚くに違いない。いまやモスクワは、スタイリッシュなグローバル都市へと変貌を遂げたのだ。

 

 

・『キャンディ』

金髪のお色気美女・キャンディの放浪物語。同名の原作小説は、なんとあの『カンディード』を下敷きにしているらしい。

主人公・キャンディの前には、次から次へと濃ゆ~いキャラの男たちが現れる。頭の弱いキャンディは、そのたびに彼らと男女の仲になるが、なかなか“本番”には至らない。でもお色気場面はたっぷりあるので男性諸氏はどうかご安心を(w

本作は、もちろんただのポルノ映画ではない。地球規模で革命の嵐が吹き荒れていた1968年のなんとも騒がしすぎる世相を、シニカルに描いているのである。その点、イタリア映画界の鬼才・ヤコペッティ監督の作品群を思い起こさせる。奇しくも、彼もまた『カンディード』を原作とする映画『ヤコペッティの大残酷』を撮っていたっけ。

こういう、シニカルな作風の映像作家は『カンディード』を好むのかもしれない。そもそも、ヴォルテールの手による『カンディード』自体、世の不条理を「怒り」ではなく「笑い」の観点から描いた、シニカルな小説であった。

本作では、あのマーロン・ブランドをはじめ、有名な俳優が多数出演している。意外な顔ぶれとして、なんとビートルズリンゴ・スター(!)までもがちゃっかり出演している。これは、本作の見どころのひとつだろう(w