Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第248回)

・『チャドルと生きる』

本ブログではこれまで、イスラーム世界に生きる女性たちを描いた映画をいくつか取り上げてきた。『アフガン零年』『オフサイド・ガールズ』といった作品群がそれだが、本作もまた、イスラーム教国・イランに暮らす女性たちを描いた映画である。

本作に、主人公はいない。否、出てくる女性たち皆が主人公、というべきか。本作は、複数の女性たちの一日を描く。彼女たちは、境遇こそ様々だが、いずれもなんらかのかたちで社会的抑圧を受けている。

女の子が生まれたら夫の家族から離縁されるという妊婦の女性。夫や父の署名を求められ、それができないせいで中絶手術を受けられない女性。同様の理由で「女ひとりではどこにも行けない」とぼやく女性……

イランはいまだにこうなのか、と驚くほかないが、日本とて昔はこうだったのだ。けっして遠い国の話などではない。

抑圧されながらも、それでもなお毎日を強く生きようとするイラン女性たちに、幸あれ。

 

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・『麦の穂をゆらす風

タイトルだけ聞くとなにやら恋愛映画のようだが、さにあらず。アイルランド独立問題を扱った社会派の映画である。

1920年アイルランドアイルランド人はイギリスによって抑圧されていた。少し人が集まっただけで政治集会と見なされ、警察に尋問されてしまう。

イギリス当局のアイルランド独立派への弾圧は過酷を極め、逮捕された独立派は、たとえば爪をはがされるといった凄惨な拷問を受けた。まるで日本の特高警察のようだ。

そんなアイルランドにも、転機が訪れた。1921年、イギリスと独立派のシン・フェイン党講和条約に調印したのだ。これによりアイルランドは「アイルランド自由国」となったが、一方で、自由国は英連邦に留まるとされ、英国王への忠誠義務も残った。

これを不服とする主人公はじめ独立派たちは、条約調印後もなお反英闘争を続けるのである。

ネタバレになるので詳細は伏せるが、ラスト、主人公は弾丸に斃れる。だが弾丸を撃ったのはイギリス軍ではなく、あろうことか……

なんとも皮肉な結末だ。だがアイルランドだけでなく、世界のどこでも似たような事件は数多くあったに違いない――僕は、現代のパレスチナをとっさに連想した。

 

 

・『ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女

有名なファンタジー映画だというのに、まだ見ていなかったことに今更ながら気づいた(;^_^A

第二次大戦中のイギリス。ロンドンから田舎の親戚の家へと疎開してきた子供たちが、家のなかにあるクローゼットを開けてみると、その向こうには「ナルニア国」というファンタジー世界が広がっていた……。

タイトルの通り、このナルニア国には、悪玉の魔女と善玉のライオンとがいる。このライオン、とてもよく出来た人格者……じゃなかった(w)ライオン格者で、つねに威風堂々としており、知恵を使って子供たちを助けてくれる。子供たちはこのライオンの助けを借りて、最終的に魔女を蹴散らし、ナルニア国の王様となるのである。

なんというか、まぁ、いかにもファンタジーの王道展開、という感じであった(w)。本作の後にも第2章、第3章、と映画は続いているのであるが、見るかどうかは今のところ未定だ。もっとも、原作者のC・S・ルイスは高名なキリスト教使徒伝道者だそうだから、もしかしたら見るかもしれない。

話は変わるが、本作を見ていて個人的に一番感心したのが、終盤の合戦シーン。鳥が敵軍めがけて石を投下する場面で、ちゃんと石が斜めに降っている。こういうとき、文系人間はつい垂直に石が降る光景をイメージしてしまいがちだが、物理学的にはもちろん斜めに降る本作の描写のほうが正しいのである。

これも、CGが発達したおかげなのだろうか。

 

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・『竹取物語

日本映画界の巨匠・市川崑が、意外にも『竹取物語』を題材に撮った映画である。

といっても、そのストーリーの奇抜なことといったら(w)。三船敏郎(!)演じるおじいさんが、竹やぶのなかで光る竹を見つけて……なんて生易しいものではないのだ(w)。ある日、おじいさんの家の裏側に、なんとUFO(!)が墜落。その現場にて、おじいさんは謎の少女を保護する。少女は、目が青色に光っており、なんとも不気味である――個人的には、『光る眼』というホラーSF映画を思い出してしまう

そんな薄気味悪い少女も、たちまち成長して、沢口靖子演じるかぐや姫となる。ここから先は標準的な『竹取物語』となっており(w)、三人の貴族からの求愛のエピソードも原作通りである。が、ラストに至って本作はまたもやぶっ飛んでしまう(w

都の上空になんと巨大UFO(!)が出現、かぐや姫はUFOから発せられるビーム光線によってUFO内部へと迎え入れられ、月へと帰るのである。まるで『竹取物語』から一転、『未知との遭遇』になってしまったかのようだ(w)。エンディングで流れる歌もなぜか英語であり、場違い感が半端ない(;^ω^)

さすがの巨匠・市川崑も、これはさすがに黒歴史だったなぁ……とあの世で後悔しているのではなかろうか(;^_^A

 

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・『ブルークリスマス

先程の『竹取物語』に続き、これまた日本映画界の巨匠によるSF映画である。

こちらは、『日本のいちばん長い日』でおなじみ、岡本喜八監督による作品だ。

1978年。世界中で青い血液の人間の出現例が報告される。各国政府がこの事実をひた隠しにするなか、仲代達矢演じる主人公格のジャーナリストは、この件に関してひそかに調査を開始する……

未知なる存在によって徐々に人類が入れ替わっていくという恐怖は、『SF/ボディ・スナッチャー』を彷彿とさせる。戦争をシニカルに描くという作風で定評のある岡本監督、本作ではSFであるにもかかわらず特撮を一切使用せず、作品全体に怪しげな空気感を醸し出すことに成功している。

本作の英語タイトルは、「BLOOD TYPE:BLUE」。これは、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』にて使徒の波長パターンとして表示される文字列である。あの有名な台詞「波長パターン、青。使徒です!」の元ネタというわけだ。

邦画マニア、とりわけ岡本監督の大ファンであった、庵野監督らしい演出である。

 

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