Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第249回)

・『1941』

タイトルの「1941」という数字は、真珠湾攻撃の行われた1941年のこと。

本作は、真珠湾攻撃のあと、もし日本軍がLAを攻撃していたら、という「歴史のIF」を映画化した作品である。

といっても、生真面目なものでは全然なく、むしろ純然たるギャグ映画へと仕上がっている。監督はなんとあのスティーブン・スピルバーグ(!)。

本作に登場するアメリカ人たちは、言っちゃ悪いが、どいつもこいつもアホばかり。日本軍にやられる前に、勝手に自滅してしまう。じゃあ日本軍のほうはどうなのかと言えば、三船敏郎(!)演じる潜水艦艦長が「ハリウッドを攻撃すればアメリカ人に精神的打撃を与えられるから」といういまいちピンとこない理由でハリウッド攻撃を命じたり、「我々日本人はサムライとニンジャの子孫である」などといかにもハリウッドの描くヘンテコ日本人的なことを言ったり、とこちらもビミョーにおかしい(w)。まぁギャグ映画だからそれでもべつにいいんですけどね(w

さて、本作は公開当時、「戦争を題材に扱うにしてはふざけすぎている」というので結構批判されたらしいのだが、いやいや、僕は本作は反戦映画にしてはまぁまぁよく出来たほうだと評価しているのである。

戦争という暴力に対して「怒り」の感情で立ち向かうような“真面目な”戦争映画は、その真面目さゆえに、戦争を根本から批判することができない。なぜならその“真面目さ”こそが、これまで人間を戦争へと駆り立ててきた主因にほかならないからだ。

戦争という暴力に真に批判的に向き合うためには、むしろ「あえてふざける」ことこそが大切なのではないか。そう、本作でスピルバーグがやってみせたように。

それにしてもまさかの(w)三船敏郎出演。黒澤映画の大ファンであるスピルバーグはさぞや嬉しかったでしょうね。

 

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・『私たちの幸せな時間』

本ブログでは久しぶりの、韓国映画である。

元歌手の女性が、シスターである叔母の誘いで、死刑囚の男性の心のケアをすることとなる。はじめのうちはかなり荒れていて、他者を強く拒絶した死刑囚であったが、女性が足しげく面会に訪れるうちに、次第に彼女に対し心を開くようになる。

一方、女性のほうも、かつてレイプ被害を受け、心に傷を負っていた。彼女もまた、死刑囚との交流を通じて次第に癒されていくのだ。

それでも、心を開いたからといって死刑囚に恩赦が下るわけでもない。“最後の時”は着々と迫りつつあった……。

死刑囚との対話と心のケアの問題に焦点を当てた、心温まる作品だ。こういう作品の良さは、言葉ではうまく説明できない。実際に本作を鑑賞してみてほしい。

 

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・『パラダイス・ナウ

中東・パレスチナでは今日もなお、現地の青年たちによる自縛テロが後を絶たない。本作は、そんなパレスチナの自縛テロ犯の青年たちを描いた作品だ。

平和な日本に暮らしていると、「自縛テロ」などというのはなにやら遠い世界の出来事のように思えてしまうが、本作に登場する青年たちは、どれもこれも現代日本にもいそうな若者ばかりである。

彼らはたいてい、仕事がうまくいっておらず、その生活にはつねに倦怠感が漂っている。そんな彼らをリクルートするテロ組織は、おそらくハマースであろう。青年たちは組織によって体に爆弾を括りつけられ、自爆テロを命令される。

ラスト。すったもんだの末、青年たちはイスラエルの都市・テルアビブへと向かう。高層ビルが林立し、道路がきちんと舗装されているテルアビブの街は、青年たちの暮らす廃屋だらけでデコボコ道のパレスチナとは雲泥の差だ。こうした極端な格差が自縛テロの温床であることが、本作のおかげで“視覚的に”理解できるのである。

明日から中東ニュースを見る目が変わるはずだ。

 

 

・『エマニエル夫人』

かなーり有名なピンク映画だと思うのだが(w)、意外にもまだ一度も観たことがなかった。今回初めて観る次第である。

フランス人の人妻が旅行先のタイにて浮気に明け暮れるというお話。前評判どおり、エロいシーンも多くて、なんというか、「ごちそうさま」という感じでした(w

あいかわらずオリエンタリズムを強く感じさせる作品だが、まぁそれは本作の本筋ではないので、これ以上は触れないとしよう。

さて、フランス人はどうして、こんなにも平然と浮気を繰り返すのだろう。彼らはよく「愛しているから、浮気をするんだよ……(はぁと」などと平然と言ってのけるが、それは必ずしも強弁ではない。彼らの根底には、「真実の愛は、つねに試練にさらされなければならない。それを乗り越えてこそ真実の愛なのだ」という発想があるのだ。この点、「浮気をしないことこそが真実の愛」だと考える我々日本人――というか、世界の人々の大半――とフランス人とは、そもそも「真実の愛」についての考え方が異なるのである。

 

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・『ノーマ・レイ

米南部の紡績工場で働くアラサー女子の主人公、ノーマ・レイ。そんな彼女が、東部からやってきた労働組合の活動家の男に徐々に感化され、自らもまた工場内にて労働運動を主導する活動家になる、という内容の社会派作品である。

今のアメリカは左翼が復権しつつあるようだから、今こういう映画をリバイバル上映ないしリメイクしたら、意外とウケるかもしれない。

もっとも本作のノーマのような女は、どうにも神経質な感じがして、個人的にはあまり好きではない。劇中、彼女の夫も、妻が活動に熱中するのをあまり好意的には思っていないようだ。

活動家として共感できるか否かというのと、私生活のパートナーとして魅力的かどうかというのは、まったく別の問題だ。僕はあいにく活動家の奥さんは、ご免こうむりたいですなァ。

 

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