Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第251回)

・『オール・ザ・キングスメン』

本ブログでは以前、20世紀前半の米ルイジアナ州にて辣腕をふるった政治家、ヒューイ・ロング知事に関する著作『アメリカン・ファシズム』を取り上げた。

今回ご紹介する『オール・ザ・キングスメン』は、そんなロング知事をモデルとした架空の政治家、ウィリー・スタークを主人公とする映画である。

ショーン・ペン演じるスタークは、粗野ながらも庶民の心をつかむ巧みな演説で、ついにはルイジアナ州知事にまで上り詰める。しかし彼には、おもに上流階級に敵が多かった。とくに邪魔だったのがアンソニー・ホプキンス演じる判事であり、スターク知事はなんとか判事にスキャンダルのネタがないかと、スタッフを使って調査させる。それが最終的に悲劇を招くことになる。

スターク知事の最大の武器は、上述のとおり庶民の心をつかむその演説だ。決して難しい言葉は使わず、政敵を徹底的に攻撃する。それは、今日のトランプ大統領の演説やツイートを彷彿とさせる。

ラスト、スターク知事は史実のロング知事同様、悲運に見舞われる。トランプ大統領は、さてどうなるだろう。

 

 

 ・『プリシラ

オーストラリアのゲイたちが、ショーの公演のため、同大陸のど真ん中に位置する地方都市・アリススプリングスへと陸路で向かう、という内容のロードムービーである。

道中、彼らはゲイであるゆえに、沿道の住民たちから様々なかたちの差別を受ける。

オーストラリアはもちろん先進国であるが、田舎ではまだまだゲイへの風当たりが強いのだということが、本作からよく分かる。

それでもゲイたちはめげることなく、アリススプリングスへの旅を続ける。決してへこたれないゲイたちの逞しさに、乾杯。

 

 

・『世界残酷物語

本ブログではおひさしぶり、イタリアのドキュメンタリー監督、グァルティエロ・ヤコペッティによる作品だ。彼にとっては記念すべき監督デビュー作でもある。

邦題のとおり、世界各地で見られる残虐な光景を一本のドキュメンタリーへとまとめたものだ。

マレーシアの水葬の風習のせいで骸骨が散乱する海底や、核実験のせいで方向感覚を失い、そのまま餓死して骸骨になるウミガメなど、実に衝撃的なシーンのオンパレードである。そういうのが苦手な人は、本作の鑑賞は控えたほうが良いだろう(;^ω^)

なかでもネパールのグルカ兵が牛の首をちょん切る場面は本当に凄い。今のドキュメンタリーでは、はたしてここまで撮影できるものだろうか。

他のヤコペッティ作品同様、本作でも世界各地の未開の部族が多数登場する。なかでも、初めて見る飛行機に衝撃を受けてなんと「飛行機崇拝」(!)を始めたというニューギニアの部族の話は、大変に興味深い。

我々はそうした未開の部族のことをつい嗤ってしまうが、ヤコペッティ監督が巧みなのは、未開の部族のシーンのすぐあとに先進国のシーンをつなげるところだ。この演出により、実は「未開人と文明人」の差異などたいして大きくないのだということに、観客は気づかされるのである。

 

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・『日蓮

本ブログではこれまで、道元親鸞空海など、日本仏教の高僧たちの生涯を描いた映画をいくつか取り上げてきた。今回ご紹介するのは、日蓮宗の開祖・日蓮を描いた作品だ。

本作を見ていると、日蓮という人は生前、ずいぶんと苦労を経験した人だったのだな、ということが分かってくる。

自分には人並みの平凡な一生など送れそうにない。両親には心配をかけ続け、そのまま他界させてしまった……。

そうした苦悩に苛まれつつも――僕自身、こういう苦悩はかなりリアルに実感できる――それでもなお日蓮は、自らの使命は法華経の布教にありと信じ、伝道の旅を続けるのである。

正直、僕は日蓮という人はあまり好きじゃなかったんだけど――やたらと「仏敵」とか「仏罰」を強調するところとかw――本作を見ていたら少しずつ日蓮に共感できるようになってきた。

ただ、鎌倉幕府に処刑されそうになる場面で、空から光が舞い降りてきて日蓮の身体が光に包まれるというシーンは、爆笑モノであった(ww

 

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・『蜂蜜』

トルコの山村。主人公の少年は、おそらく失読症なのだろう、他者とコミュニケーションがうまく取れない様子である。

本作は、少年と、トルコの美しく深い森を1時間半ほどかけて、静かに、じっくりと描いていく。

終盤、失踪した父の後を追って、少年は森のなかへと入っていく。人間を寄せ付けない深い森は、だからこそ失読症で人とうまく馴染めない少年をやさしく迎え入れる。

人間社会からはじき出された者が、人間ではなく森によって受け入れられる――僕は、日本映画『殯の森』を思い出しながら本作を観ていた。

 

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