Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第254回)

・『ハムレット

本ブログでは以前にも『ハムレット』の映画化作品を取り上げたことがある。そちらは舞台演劇的な演出をあえて映画に取り入れた作品となっていたが、本作のほうは、普通に“映画らしい映画”に仕上がっている。歴史モノのドラマを見ているかのようだ。

メル・ギブソン演じる、中世デンマークの王族・ハムレット。父王の急死にショックを受け塞ぎこんでいたが、ある時、その亡き父の亡霊が現れ、自分は実は弟によって殺されたのだ、と衝撃的な真実を告げる。ハムレットは、叔父である新王の前にて、兄殺しを主題とする演劇を上演させる。新王が動揺するのを見て、父の亡霊の言葉は真実だと確信、復讐を誓う。

この物語の凄まじいところは、主人公をはじめ、ヒロインのオフィーリアなど、周囲の人々が次々と理性を失い、命を落としていくことである。「そして誰もいなくなった」的な結末は、まさしく悲劇と呼ぶにふさわしい。

本作は、シェイクスピア悲劇の映画化だというのでスタッフの気合が入っているのか(w)、実際に古城を使って撮影されており、大道具なども凝っている。中世をリアルに再現できているほか、原作の持つ陰鬱な雰囲気がより一層際立っている。

 

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・『ミッション』

18世紀ブラジルにて実際に起こった先住民虐殺事件を描いた作品である。

ロバート・デニーロ演じる主人公の宣教師。アマゾンの奥地に住む先住民の村へとたどり着き、彼らにキリスト教を布教する。布教活動を通じて彼は、先住民がとても人間的で平和な社会を築いていることを知る。

一方そのころ、彼らの居住区域の帰属をめぐって、スペインとポルトガルが争っていた。同地のポルトガルへの編入が決まり、スペイン人である主人公には退去命令が下される。だが当時のポルトガルではまだ奴隷制が合法とされており、このままでは先住民たちが奴隷化されるおそれがある。

主人公はかくして、白人であるにもかかわらず、あえて先住民の側につき、白人たちと戦う決心をかためる。

……という、なんとも『ラストサムライ』的なお話であった。

本作を見ると、キリスト教が残念ながら(というべきだろう)帝国主義の尖兵として機能してしまったことがよく分かる。と同時に、そんなキリスト教のなかにあっても、先住民たちを想い、彼らとともに戦った人々がいたことも、また事実なのである――そう本作は教えてくれているのだ。

 

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・『ルーキー』

主演、監督、ともにクリント・イーストウッドという本作は、まさしく彼らしいと言える映画であった。

イーストウッド演じるロス市警の型破りな主人公刑事のもとに、チャーリー・シーン演じるお坊ちゃん育ちの新米刑事が配属される。ところがこの新米、さっそくヘマをやらかしてしまったせいで、主人公は敵に人質に取られてしまう。新米は雪辱を誓う。

……という内容の本作。この新米刑事というのが、いかにもお坊ちゃん育ちの自分にコンプレックスを抱えているのが見え見え(w)。彼はロス市警に入ることで一生懸命背伸びして不良刑事ぶるわけだが、傍目にはどうしてもイタく映ってしまう(w)。それでも彼は少しずつ“成長”していく。

イーストウッドは、先の大統領選にて共和党のトランプ候補を支持し、そのせいでリベラル派からはずいぶんと失望されたものだ。それはここ最近、彼が文芸的な映画を多く撮るようになり、なんとなく文化人っぽい扱いになったことによる。リベラル派連中から勝手に「保守の良心」として期待され、そして勝手に失望されたのだ(w)。もともとのイーストウッドは、トランプ的な不良キャラだったというのに。

本作は、ある意味民主党的とも言えるお坊ちゃんが、トランプ共和党的な不良刑事へと“成長”するまでを描いた物語、と見ることもできるだろう。

 

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・『ナビィの恋

若い女性が、沖縄の離島にある実家へと帰省してきた。祖母のナビィは温かく彼女を迎えるが、このとき島には彼女と同時に、ある謎の老人も訪れていた。やがて、ナビィばあちゃんとこの老人とのただならぬ関係が明らかになる。

本作の最大の特色は、折々で交わされる琉球語のセリフだ。日本語の一方言とも、独立した言語ともみなされるこの琉球語を、島の老人たちは日常的に話すのである。

これがスゴイ。全然分からないw(;^ω^) あまりに分からないのでちゃんと下に日本語字幕が出るほどである(w)。ところどころ分かる箇所もあるが、分からない箇所は本当に全然分からない(w)。「なんだこりゃ、韓国語か?」という感じだ(w

琉球語が実際に話されているのを聞けるだけでも、本作は一見の価値ありである。

主人公格のナビィばあちゃんを演じるのは、平良とみ(1928‐2015)。彼女は本作公開(1999年)から二年後にNHK朝の連ドラ『ちゅらさん』にて主人公の祖母「おばぁ」役で出演、たちまち全国区の知名度となった。『ちゅらさん』は僕も見ていたので、本作にて久しぶりにおばぁと“再会”でき、とても嬉しかった(w

 

 

・『コーザ・ノストラ

アメリカのマフィア――いわゆる“ファミリー”は、絆を重んじる。なんだ、彼らも彼らなりに仁義に厚いのか、と思ってしまうが、どうやらその実態はもっとずっと、ドロドロしたもののようだ。

本作は、そんな“ドロドロ”を描いたマフィア映画である。実話に基づく。製作総指揮は、なんとあのロバート・デニーロ(w

主人公・サミーはマフィアとしてめきめき頭角を現し、“ファミリー”内にてのし上がっていく。ところが最後の最後になってボスの裏切りに遭い、自分だけ刑務所にぶちこまれてしまう。サミーは復讐として司法取引に応じ、過去の悪行を洗いざらい白状。これによりボスを終身刑へと追いやることに成功する。が、自らもまた、裏切り者として復讐におびえる日々を送る羽目になる。

劇中の主人公のセリフが印象的だ。

「殺人は6人までならまだ大丈夫だが、7人目以降は遺族からの復讐におびえなければならなくなる」

因果応報。悪行には、必ず報いがやってくる。マフィアたちにまとわりつく“カルマ”を強く感じさせる作品だ。

 

コーザ・ノストラ [DVD]

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