Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

書評『スモールハウス』

僕は、『方丈記』の鴨長明や『徒然草』の吉田兼好に憧れてしまう。

僕も彼らのように庵を結んで、隠遁して暮らしたいなぁ、とときおり思うのだ。

でも中世ならまだしも、この21世紀の現代で、庵で生活なんて無理だよね~、と諦めかけていたところ……案外、そうでもなさそうなのだ

 

本日ご紹介する本は、『スモールハウス 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方』同文館出版)である。

著者は、ブロガーの高村友也さん。

スモールハウスというのは、まさしく「現代版・庵」のことだ。建築に関してはまったくの素人が、市販されている木材などで手作りした小規模な家のことである。

高村さん自身、スモールハウスに住んでいるという。本著の冒頭に、彼の“自宅”の写真が掲載されている。まぁ、そこは素人仕事なのでお世辞にも綺麗な外観とはいいがたいのだが(;^_^A、内装のほうは意外にも――といってはこれまた失礼だがw――しゃれたつくりになっている。

へぇ、こういう「庵」だったら僕も住んでみたいな、と思った。

 

本著を読む前、僕はてっきりこの本は高村さんの家づくり奮闘記なのかと思っていた。そしたら、違った(w

本著のメインテーマは、高村さん自身の話ではなく、欧米にてスモールハウスで生活を営む人々の紹介にこそあったのだ。

彼らに共通する点は、高村さん同様、実際にスモールハウスを手作りしてしまったということ。

「い、家を手づくりィ!?」と驚かれる方もいるかもしれないが、実は欧米ではわりとよくある話なのである。

 

今からちょうど10年前、僕のいとこが米国人男性と結婚した。で、結婚式に参列するため、我々は米国にある男性の実家へと行った。そこで彼の生家を案内してもらったところ、彼はなんと

「この家は父さんの手作りの家なんだよ」

と当たり前のように言うではないか! 我々が驚いていると

「父さんは大学で建築を学んでいたからね」

とこれまた平然と答える。あ、そうか、アメリカでは建築学科を卒業した人は家を手作りするのが当たり前なのか、とカルチャーショックを受けたものだったw(;^ω^)

元々がそういう国だから、自分で一からつくるスモールハウスという発想も自然に出てくるのだ。

 

本著に登場する人々のスモールハウスは、高村さんのものとは異なり、外観もとても綺麗だ――いやぁ、高村さん、ホント何度もスイマセン(;^ω^)。こじんまりしたつくりなので、なんだかお人形さんの家のようにも思えるが、もちろんこのなかに実際に人が住んでいるのである。

スモールハウスの長所は、とても安価に住めるということだ。

小さいのだから、つくるのに材料費もあまりかからない。あまり家具も置けないから、最低限の家具のみ室内に置くようになる。スモールハウスはまた、天窓をもうけて太陽光を極力利用するつくりになっている場合が多いので、光熱費もさほどかからないという。

金がかからないということは、あまり働かなくてもいいということでもある。実際、本著に登場するスモールハウスの住民たちは、労働時間を削減することによってストレスを軽減し、とてものびのびとした生活を営めるようになったのだそうである。

う~む、スモールハウス、ますます住みたくなってきた(w

 

本著を読んでいて、しかしながら一点、気になることがあった。

それは高村さんが、昨今の日本のサヨクにありがちな「日本はもう(経済)成長しない」「これからはモノの豊かさより心の豊かさ」的な発想にわりと近いことを言ってしまう点である。

もちろん、高村さん自身はそこまで露骨に経済成長を否定することはない。彼はなにも、スモールハウスのなかで完全に自給自足の生活を営め、と言っているわけではないし、富裕層が、富裕層であるがゆえに――つまり外食などに気軽に頼れるがゆえに――スモールハウスを楽しめるというケースもあることを、本著にてちゃんと紹介している。

だがそれでも、本著全体を通して見ると、彼はやはり経済成長を前提とする現下の資本主義のシステムに疑念を抱いているように思えるのだ。

これは、まずいんじゃないかなぁ、と個人的には思っている。

皆さん、「フリーター」という言葉について、どのようなイメージを持っているだろうか。正直に言って、あまりいいイメージはないと思う。ところがこの言葉が生まれた80年代のバブル当時、「フリーター」は自分の人生を会社に左右されないという、むしろポジティブな意味を持っていたのだ。それがデフレの時代になるや一転、今度は非常にネガティブな印象を帯びた言葉になってしまった。

どうしてか。日本が経済成長しなくなったからだ。

つまり、経済が成長しつづけたほうが、会社に縛られない自由な生き方が可能となるのである。

高村さんのように、既存の「社会人」――日本においてこの言葉は「会社人」、もっと言えば正社員と同義であることに留意されたし――としてのライフコースを疑い、もっとのびのびとした自由な生き方を望む人ほど、経済成長を歓迎するべきだし、また経済成長を実現するために適切な金融・財政政策を実行してくれる政権を支持するべきなのである。

 

あ~、僕もスモールハウスで暮らしたくなってきたぞ(w

 

スモールハウス 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方 (DO BOOKS)

スモールハウス 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方 (DO BOOKS)