Furusawa Keisuke's blog

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書評『台湾人と日本精神』

徴用工問題をめぐる韓国内での裁判の判決が、日韓関係に極めて暗い影を投げかけている。

 

ironna.jp

00年代まで、日本人の対韓感情は――いわゆるネット右翼層を別にすれば――決して悪くはなかった。この時期、対中感情は悪化する一方だったが、対韓感情のほうはそれほどでもなかった。

それも今や昔である。

日本人のあいだでは諦観が広がりつつある――「日本にとってまともな隣国は、もはや台湾しかないのではないか」と。

 

本日ご紹介する本は、『新装版 台湾人と日本精神 日本人よ胸を張りなさい』小学館である。

著者は、台湾人の実業家である、蔡焜燦さん(1927-2017)

 

本著にて、蔡さんはひとりの台湾人として、自らの国の歴史について語っている。

日本は台湾を植民地統治した。だが蔡さんに言わせれば、日本は植民地というよりかはむしろ、本国の一部として台湾を扱ったのである。

たとえば、教育。日本による教育は、とても充実したものであった。当時、日本人と台湾人はそれぞれ別の学校で学んでおり、これは一見すると差別のようにも思えるが、蔡さんは、これは日本語を母語としない台湾人のための配慮であったと書いている。

一方、これとは対照的に酷かったのが、戦後の国民党政権だ。国民党は、単に腐敗しているだけではなかった。彼らは台湾人を、実に惨たらしいやり口で虐殺したのである。国民党による台湾人虐殺事件は、台湾では二・二八事件と呼ばれている。我々日本人にとっては、2月26日こそが歴史のターニングポイントであったが、台湾ではそれは2月28日であったのだ。

日本統治時代と国民党時代とのコントラストは、実に鮮明である。「あぁ、だから台湾人は親日になったわけね」と納得させられる。

 

驚くべきことに、蔡さんは母語が日本語なのだという。普段、日本語でものを考えるというのだ。実は李登輝元総統も同様に日本語を母語としているという話を、僕は以前聞いたことがある。

本著では、その李登輝さんも登場する。蔡さんと李さんは、もちろん日本語で会話するのだそうである。

このほかにも、本著では和歌を詠む台湾人のグループのことも紹介されている。

彼ら戦前生まれの台湾人にとっては、むしろ北京語のほうこそ外国語であったようなのだ。たとえば本著では、戦後まもなくのころの台湾人は「台北」の北京語読みが「タイペイ」であることすら知らなかった、という話が出てくる。実に意外な話だ。

「へぇ~、台湾って、昔は親日だったんですね」

と皆さん思われるかもしれない。

実のところ、現在でもそうなのだ(w)。本著でも、哈日族と呼ばれる日本びいきの若者たちのことが言及されている。

台湾人の親日ぶりは、今日でも変わっていないのだ。

※現在の台湾人の親日ぶりについて詳しく知りたいという方は、ジャーナリスト・酒井亨さんの著作を読むとよいだろう。

 

さて、本著にて、日本人に台湾の歴史を伝えてくれた書として蔡さんが挙げるのが、司馬遼太郎さんの『街道をいく 台湾編』と、小林よしのりさんの『新ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論』の二冊である。

このうち、『台湾論』のほうは僕も読んだことがあるが、『街道をいく』のほうは、恥ずかしながら未読である。

司馬遼太郎さんといえば、日本を代表する歴史作家であるが、実を言うと、僕の周りでは司馬さんを褒める人があまりいないのであるw(;^_^A

「あの司馬とかいうオッサン、なんでロクな史料も無しにあんなテキトーなことベラベラ書けるんや?」

「実際はただの武器商人にすぎなかった坂本龍馬を、さも日本の偉人のように描きやがって。許せん!」

……といった意見が、僕の周りには多いのであるw(;^ω^)

だが蔡さんによれば、司馬さんは台湾の歴史をとても深い次元まで理解し、それを日本の読者に伝えることに功績があった人なのだという。

う~む、司馬遼太郎、にわかに読みたくなってきた(w

 

米国のペンス副大統領の演説が「米中新冷戦」の到来を告げるものだというので、巷間で話題になっている。

来たる新冷戦において、日本と台湾はともに、リベラル・デモクラシーと市場経済という基本的価値観を共有する自由主義陣営の最前線として、中国に対峙していくこととなるだろう――え、韓国? もう知らんよあんな国

本著のなかでも、「運命共同体としての台湾と日本」と題された一節がある。本当にそのとおりだ。

日本と台湾は、同じ自由主義国として、東アジアの将来を切り開いていく歴史的責務を共有しているのである。

 

新装版 台湾人と日本精神: 日本人よ胸を張りなさい

新装版 台湾人と日本精神: 日本人よ胸を張りなさい

 

 

この本もオススメ! BOOK GUIDE

・『新ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論小学館

よしりん先生」こと、漫画家の小林よしのりさんによる台湾論。毀誉褒貶の激しいよしりん先生だけれども、本著の初版刊行時点(2000年)で「中国もダメ、韓国もダメ。日本が真に信頼できる隣国は台湾のみ!」と断じたのは、慧眼でしたねぇ。

 

新ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論 (小学館文庫)

新ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論 (小学館文庫)