Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第265回)

・『幽閉者 テロリスト』

本ブログではここ最近、若松孝二監督の作品を集中的に取りあげている。本日の一発目はそんな若松監督……ではなく(w)、彼の盟友であった足立正生監督による作品である。

おそらくはイスラエルをモデルにしたと思しき、中東の架空の国家。そこで、主人公の日本人テロリストが逮捕されてしまう。

逮捕当初こそ自ら「無名戦士」を名乗り、強い矜持を抱いていた彼であったが、連日にわたる尋問のすえ、しだいに拘禁反応による幻覚に襲われるようになる。

幻想と現実との境目がどんどんあやふやになるなか、彼はついに人間としての最低限の品格すら喪失し、犬猫同然にまで成り下がってしまう。

そんな難しい役どころを、主演の田口トモロヲが迫真の演技で表現してくれている。本作は、映画というよりかはむしろ、演劇を見ているかのようだ。

遥か中東の地にて勾留された日本人。僕はどうしても、先日解放されたジャーナリストの安田純平さんを連想してしまう。彼もまた、このような生き地獄を経験したのだろうか……。

 

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・『帰って来たヨッパライ

若松孝二さんに影響を与えた人物のひとりとして、映画監督の大島渚さんの名を挙げることができる。

本作は、そんな大島さんによる映画である。

主人公の若い男三人組は、どうやら在日韓国人のようだ。彼らは韓国へと送還され、そのまま当時戦場であったベトナムへと派兵、かの地にて戦死してしまう。

……と思ったら、時間軸が巻き戻り、めでたく三人組復活(w)。また同じようなやりとりが繰り返される。いったい何なんだ、この映画は?(ww

三人組が韓国へと送還されるシーンでも、日本海とされる“海”は明らかに、東京・上野の不忍池である(w

このように本作はとても不思議な映画であるが、しかしながら大島監督が伝えたかっただろうことは、僕にはとてもよく分かる気がするのだ。

当時は、ベトナム戦争のまっただ中。かの悪名高きベトコン路上処刑映像も、本作にて繰り返し引用される――ベトコン路上処刑の映像は、NHK『映像の世紀』でも取り上げられたほど有名なものである。皆さんも一度くらいは見た経験があるのではなかろうか

大島監督は、この不可思議な映画を通じて、ベトナムが決して「遠い国の出来事」などではないこと、我々の住むこの日本と地続きで繋がった出来事であることを、それも在日韓国人というマイノリティーの視点を通じて、日本社会に糾弾したかったのであろう。

 

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・『天使の恍惚』

さぁこちらは、待ってました(w)、我らが若松孝二監督の、初期の作品である。これまで取り上げた初期若松作品と比べると、かなり陰惨な印象を与える作品ではある。

主人公は、新左翼過激派に属する活動家の青年たち。若松監督は本作にて、彼らが破滅していくまでの過程を描き出している。

相も変わらず――まぁピンク映画なのでw――セックスの場面がとても多いが、興味深いのは、見るからに生真面目そうな印象の男子学生が、セックスを必死になって拒み、過激な政治運動へと自らの身を投じる、という描写である。

こうした童貞にありがちな潔癖症的な性格は、我々観客にどうしても、フラジャイルだとの印象を与えてしまう。先日の『ゆけゆけ二度目の処女』を見たときにも感じたことだが、やはりこの時代の若者たちは、総じてフラジャイルだったのではあるまいか?

劇中にて絶えずBGMとして流れるジャズが、またなんともカッコいいのである。

 

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・『性賊/セックスジャック』

こちらも若松孝二監督の、初期に位置づけられる作品である。本作も、新左翼過激派の学生活動家を主人公とした作品だ。

イメージとしては、『現代性犯罪絶叫編 理由なき暴行』と先ほどの『天使の恍惚』を足して二で割ったような印象の作品である。

アジトにこもった主人公はじめ活動家たちは、ただひたすらにセックスをしつづける――まぁ、ピンク映画だからしょうがないと言えばしょうがないが(w。もはや、革命をやりたいのか、それとも単に女とヤリたいだけなのか、どっちなんだ! と問いつめたくなるレベルである(w

だが、皆さん、よく覚えておいてほしい。これこそが、1960年代という時代の実像だったのだ。

 

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・『胎児が密猟する時』

こちらも、初期若松監督作品である。

……いやぁ、本作はスゴイ。完全に、ただの変態映画であるw(;^ω^)

内容は、おすぎ似の男が若い女を監禁し、鞭打ちなどのSMプレイによって彼女を“調教”するという、かなり危うい代物である(;^_^A

本作は、しかしながら最も若松監督らしいと言える作品でもある。

男は明らかに、母性を希求する願望=子宮回帰願望に基づき、女に接する。もちろん女はそんなキモい男を拒み、この絶望的な状況から脱出しようと試みる。これは、“ロリコン監督”若松孝二による「自己批判」の作品、とも考えることができる。

さぁ、この監禁された女がラストでどうなるか。結末は、皆さんが直接己の目で見て確かめてほしい。

つけ加えれば、若松監督が後年、同じ問題設定に基づいて撮ったのが、『完全なる飼育 赤い殺意』(2004年)である。

 

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