Furusawa Keisuke's blog

政治から映画、アニメ、将棋まで幅広く語ります。

最近見た映画の感想(第266回)

・『現代好色伝/テロルの季節』

新左翼の活動家と思しき、主人公の若い男。彼の動向を監視すべく、ふたりの刑事が彼のアパートの近所からこっそりと監視を続ける。

ところが彼は、夜は一緒に住んでいる若いふたりの女の子とヤッたり、日中はテレビを見たりゴロゴロ寝たりしているだけ。完全に、今日でいうところのニート状態である(;^_^A

刑事たちはなかば呆れつつ、これなら大丈夫だな、と監視を打ち切る。ところが……。

本作もまた、若松孝二監督の初期に分類される作品のひとつである。

本作の主人公は、前述のとおり新左翼の活動家。彼は中盤にて、運動から足を洗いたいという趣旨の発言をするが――それを聞いて反発する新左翼の友人の発言がいかにも教条的なマルクス主義者のそれなのでつい笑ってしまうw――結局のところ、彼にはそれができなかった。

ネタバレになってしまって恐縮だが、ラスト、彼は羽田空港に赴き、そこで自爆テロを敢行、若い命を散らすのである。

僕に言わせれば、本作は非常に“右翼的美学”に満ちた作品である。

「え、右翼的美学? 主人公は左翼じゃなかったの?」

と皆さん不思議に思われるかもしれない。

これが戦後の政治運動史の面白いところで(w)、戦前の右翼の感受性は戦後ではむしろ新左翼のほうに継承された、つまり、ある意味では新左翼のほうこそ“右翼的美学”を体現していたのである。

右翼とは何だろうか。天皇を崇拝するのが右翼? 理性に限界を見るのが右翼?

たしかにそれも正解だろう。だが僕に言わせれば、「死にたがり屋なのが右翼」なのである。

三島由紀夫の『豊饒の海』第二作『奔馬』を思い出してほしい。そこでも主人公の右翼青年は、大の死にたがり屋であった。右翼はみな、死にたがり屋なのだ。

本作の主人公にしたってそう。彼はこれまで、食っちゃ寝&セックス三昧という退廃しきった生活を送っていたが、最後の最後になって、“国士”としての気概を取り戻し、自らの命を賭して自爆テロを敢行した。これぞ、右翼が最も理想視する、テロの形態にほかならない。あっぱれ!

三島由紀夫ならば、おそらくは本作を激賞しただろうことは、想像に難くない。というか、本作は1969年公開だから三島が見ていても決しておかしくはないはずなのである。だれか、三島に詳しい人がいたら教えてください(w

 

 

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・『デスバーガー』

本ブログでは今月に入って、若松孝二監督の映画を集中的に取りあげてきた。さぁ、そろそろ若松監督から“卒業”するとしよう。

国際的ファストフードチェーン・マクドナルドのイメージキャラクターをつとめるのが、例の「ドナルド」とかいうピエロ野郎である。僕は子供のころからこのドナルドが実は嫌いで(w)、子供心に「なんか気持ち悪いピエロだなぁ……」といつも思っていた。

そう思っていたのは、どうやら僕だけではなかったようだ。

本作は、おそらくはマクドナルドのドナルドをモデルにしたと思しき、ファストフード店のピエロのイメージキャラクターが次々と人間を惨殺していくという内容の、まぁぶっちゃけて言えばB級映画であるw(;^ω^)

ピエロのキャラクターがナタみたいな刃物で次々と人間を惨殺していく光景は、恐怖というよりかはむしろ、一種の“爽快感”すら感じさせてくれるから不思議だ。

B級映画なので正直クダラナイ内容であるが、考えてもみれば、本ブログにてこれまで取りあげてきた若松監督のピンク映画だって、公開当時は本作と同じような扱いだったのである。

ということは本作も、あと半世紀もすれば再評価……(ヾノ・∀・`)ナイナイw

 

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・『愛の地獄』

本ブログでは久しぶりの、フランス映画である。

田舎にて、ホテル業を開業した主人公夫妻。

ところが妻の様子が、どうにもおかしい。夫が気になって後をつけてみると、なんと彼女はほかの男と浮気していたのである。

衝撃を受け、次第に精神を病んでいく夫。ラストに至って彼はついに、妻を束縛するストーカー男と成り果ててしまう。

ストーカーというのは一部の病んだ人がなるものであって、我々一般人には縁のない話……などと思ってはいけない。実のところ、誰もがストーカーになりうるのである。僕は、同様のテーマを扱った日本映画『さんかく』を思い出しながら本作を見ていた。

先程の『デスバーガー』なぞよりも、本作のほうがよっぽど恐ろしい(;^_^A

 

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・『スパイ・ゾルゲ

戦前の日本で暗躍した二重スパイ、リヒャルト・ゾルゲ(1895‐1944)を主人公とした映画である。上映時間3時間超(!)という長尺の作品でもある(w

さっそくワクワクしながら見始めたのだが……。率直に言って、あまり出来のいい映画とは言いがたい。

CGを多用しているせいで、どうしても画面全体が安っぽい印象になるし、アメリカだのイギリスだのの国旗をアップで映して、そこにBGMとして国歌まで流すという演出も、あまりにベタすぎて萎えてしまうのだ(w

なにより終幕、ジョン・レノンの『イマジン』がエンディング曲として流されるのがもう本当に意味不明(w)篠田正浩監督、アナタはいったい何がしたかったんだ!(ww

そんな本作は、まぁ、中高生のための近現代史の教材、というふうに割り切って見ればいいのではないでしょうか?(w

 

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・『あの胸にもういちど』

主人公のフランス人女性。国境を超えた先にあるドイツ・ハイデルベルクにて教鞭をとっている、アラン・ドロン演じる大学教授に惹かれてしまう。

すでにフィアンセがいる身にもかかわらず、彼女はアラン・ドロンと幾度となく逢瀬を重ねる。だが結末はあまりに唐突に、それも衝撃的なかたちで訪れることとなる。

本作は、1968年公開の英仏合作映画。だがそのラストはなんともアメリカン・ニューシネマ的である。奇抜な色彩感覚もまた同様だ。

 

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